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スライディング・ヘディングシュート2


3000坪の冒険と、時々音楽すごく映画。たまにサッカー
by frat358
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クルマLOVE

クルマLOVE_c0027929_1463021.jpg

凄いわ・・・ここ最近、イーストウッド監督の映画で
見逃してたのをコツコツ見てるんですけど
つまらなかった作品が1つも無い。10割打者。
グラントリノも凄い映画でした。

偏屈でクチが悪くて人種差別主義者の老人が主役。
ちょっと驚くほどの悪態を見せるのですが、
アメリカの地方には結構いるんだそうで。
時代がどんどん変わっていく中で、
変われなかった老人の姿、とも言えます。
古きよきアメリカの伝統を愛するあまりに
多様化が急速に進む近代アメリカに付いていけない。
そんな爺さん役をイーストウッドが演じてました。

まるで往年の「ダーティー・ハリー」を思い出すような
銃を片手に「やられたらやりかえす」爺さんなのですが
老いたイーストウッドが、ずっと製作した作品で
こだわっているのが「暴力は暴力を生む」という考え。
若いギャング達の蛮行に暴力で報復し、
その結果、どんどん状況が悪化していく。
復讐が復讐を生み、余命がほとんど無い偏屈爺さんが
初めて仲良くなった隣人の為に、
ギャング相手に最後は何をするか。
この映画、副題が凄い。「男の人生は、最後に決まる」
か・・・かっこいい。
クルマLOVE_c0027929_1465041.jpg

「グラントリノ」というのは車の名前です。
主人公がピカピカに磨き上げているビンテージ車。
オマケ特典には、アメリカ人にとって車が
どういう存在なのかを伝える映像が入っていて、
父親と一緒に整備した思い出があるとか、
12年貯金して買った憧れの車なんだよーとか、
アメ車を愛するアメリカ人が沢山登場します。
しかしちょっと気になった。
撮影場所がデトロイト・・・この街って破産したよね。
彼らが愛する車を売る事になってないように、と
心底思ってしまいました。
それと同時に自分が買った車を借金地獄の状況でも
決して手放さない友人の事も思い出した。
売れば絶対ラクになるのに売らないって言っててさ。
私は思いを聞いた後に「売るな」って言ったんだけどね。
どうしてるかな・・・
デトロイトの中年が言ってた。車は自由の象徴だと。
自分が行きたい場所に、自分が行きたい時に行ける。
若い子が車を持つ事は親離れの第一歩でもあり、
それを可能にしてくれる車は単に鉄の塊ではなく
相棒なんだと。もし私が若い頃に車を手に入れてたら
周りがドン引きするくらいハマってたかもしれない。
以前にも書いたけど車を若い頃に持ってなくて
本当に良かったと改めて思う。

余談ですが、「父親達の星条旗」
「硫黄島への手紙」の2作品に
黒人が全く出てこない事をスパイク・リー監督が
指摘、批判した事があるんですけど、それを聞いて
珍しくイーストウッドが怒った事があります。
グラントリノでは日本に住んでる日本人では
聞いた事ないような「モン族」という人達が沢山出てきます。
モン族はベトナム戦争の時にアメリカに協力した為、
共産主義者からの攻撃を恐れてアメリカへ移民した民族です。
(それ自体、この映画で初めて聞いたほど)
中国人でも韓国人でもなく、モン族というのが
凄い視点だなと感心しました。アジア系というだけで
アメリカでは差別的に見られる事が多いのに、
そんなアジア系の中で極めて知られてないモン族が
グラントリノの主役の、隣に住んでいるという設定。
暴力は暴力を生む。隣人を愛す。というメッセージが
イーストウッド作品には徹底して貫かれていますし、
黒人が出てこないぞーという批判で
白人至上主義者のようなレッテルを貼られそうになって
怒ったのかもしれないな・・・と、激怒した過去を
思い出したりしました。ちなみにイーストウッド作品だと
黒人に関しては「インビクタス」という作品で、
これでもかと黒人が登場するようです。
そちらも見てみようと思います。


by frat358 | 2014-02-25 10:27 | DVDエラー大嫌い
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