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アメリカでは年間80万人の子供が失踪する。 大抵は数日で発見されるものの 何故か80万人の失踪者の中で 毎年1000人だけは、なんの痕跡もなく 一切の証拠も残さず、忽然と消えてしまう。 そんな、私達の住む世界の現実を背景に描かれた、 フランス人監督パスカル・ロジェが 脚本も担当した自主映画。彼はフランス人ですが アメリカが舞台という事もあってか 作品の中では英語が採用されています。 なんかねー、序盤が終わると そのままクライマックスに突入する、 お約束の構成を吹っ飛ばした作品です。 ずーっとクライマックスが続いて、 本来クライマックスになる時間帯は とても静かに、とても怖く進行する。 見ながら「多分こうなんだろうな」って 誰もが想像すると思うんですけど、 まあ予想している方向へ行くんだけど 映画の展開に振り回されること間違いなし。 いわゆる「ハリウッド映画」では無いんですが これをハリウッドで撮ろうと思ったら たぶん許可は出ないと思います。 スポンサーも付かないんじゃないかな。 ホラーというよりはミステリー映画でした。 特に残虐なシーンは存在しないし。 投げてくるメッセージは とんでもないですけど・・・ ========ここから完全ネタバレ========== 見てる人は主人公の目線で映画を見るのが基本なので、 主役は軸になってストーリーを引っ張るものですが、 基本的に主役というのは「善」ですよね。 見てる人は自分の中にある「善」を物差しにして 映画の世界に入っていくのが一般的なんですけど、 トールマンという作品では 「善」→「悪」→「善?」という存在になっていくので 見てるこっちは振り回されっぱなし。 人生を環境が左右する事があるのは 確かに・・・そうです。 虐待する親、貧乏な親、色んな親が居て。 貧乏な親に生まれた子は、貧乏。 その子が生む子も、また貧乏。 基本的には、そういうサイクルになってます。 この循環を個人が断ち切るには 凄いエネルギーが必要なのかもしれません。 感心したのは暴力うずまく貧乏家庭の夫婦が 殺し合いのような喧嘩をするのに 笑いあって喧嘩が終わる場面。 夫婦も、好きか嫌いかで分けれるほど 単純な関係ではない、という。 トールマンのメッセージも善と悪で分けれるほど 単純ではなく、正解も恐らく無いと思います。 大人になれば良くも悪くも社会に出れますけど、 でも子供の時に「ここから出して!」と願うなら、 トールマンのような存在以外、出られないのも事実。 親権というのがありますからね。 親に殺されてしまう子供だって居るんだし・・・ トールマンにさらわれた子供達が 心の奥に在るものを失うのも事実。 もしトールマンが本当に居るのなら、 いずれは失ったものとの対峙が 1000人の子供達に待っているのかもしれません。
by frat358
| 2013-09-18 21:26
| DVDエラー大嫌い
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