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舞台には沢山のテープが貼ってあります。 機材の設置場所を意味するテープ、 客席から舞台袖を見た時に どの位置まで見えるかを示すテープ、 役者の立ち位置を示すテープ、などなど。 なかでも有名なのが、メインキャストではない脇役が これ以上前に出てはいけない、という意味の、線。 俗に「コーラスライン」と呼ばれます。 そんなコーラスラインで踊っていた脇役のダンサー達に インタビューをして、そのインタビューを題材にして 「コーラスライン」というミュージカルが生まれました。 1975年に元ダンサーで振付師のマイケル・ベネットが企画、 初演されて大ヒット。このドキュメント映画は2006年に 復活したコーラスラインのオーディションを撮った映画です。 コーラスラインというミュージカル自体も 脇役たちのオーディションが物語になっているので、 このドキュメント映画はある意味で リアル・コーラスラインと言えそうな作品になりました。 コーラスラインを音楽担当したのは、 当時映画界で高い評価を得ていた マーヴィン・ハムリッシュという人です。 彼はアカデミー賞を取った後、 人生で一番幸福だと思える時期に マイケル・ベネットから 「全て捨てて来い。頼みたい舞台音楽がある」 と電話で口説かれ、本当にそのようにして コーラス・ラインの音楽を作ることになります。 彼は去年亡くなりました。 エミー賞、グラミー賞、アカデミー賞、トニー賞、 ゴールデングローブ賞、ピュリツァー賞。 アメリカの主要な賞を全て獲得した 世界で唯一の作曲家でもあります。 「コーラスライン」は音楽もストーリーも 舞台を原案にして1985年には映画化。 劇場という密室空間の芸術でありながらも 一般的に広く知られた作品でもあります。 企画者であるマイケル・ベネットは ダンサーの世界でエリートでした。 でもダンサーというのは老いていくと体力が持たないので 最高の転職の場として「振付師」というのが存在します。 マイケル・ベネットはダンサーとしても評価され、 振付師としても評価されたエリートの中のエリート。 でも彼は、脇役として扱われていた仲間たちに 強く興味をもちました。 現場に居ない人達は、バンドであれ舞台であれ 映画であっても脇役達を大きく評価しません。 でも現場は違います。 美術、演出、メイク、衣装、舞台設置などなど どんな役割でもプロ意識の高い仕事をしていれば、 信頼や尊敬、相手を認める関係があります。 バンドの世界でも相手を見下す関係というのは 滅多にありません。仕事はきついですが それをやり遂げる人間は評価されます。 マイケル・ベネットが自分の後ろで踊っていた人達に 興味を持ったというのも、現場の世界で考えれば そんなに珍しい発想じゃないかもしれません。 でもそれを作品にしよう、となれば話は変わってくる。 なにしろ観客が最も興味を持たない人達を 主役にしたミュージカルを作るんですから; かなりの大冒険だったと思います。 そんな「コーラスライン」は6137公演の 超ロングラン公演となり、「CATS」に抜かれるまで ブロードウェイの最長記録でした。 そしてコーラスラインはダンサー達の中でも 特別な舞台だと考えている人が多いようです。 最初の公演の時に子供だったダンサー達が 大人になっていったのが1つと、 伝説のロングラン公演である事も理由ですね。 あとは・・・楽曲の素晴らしさが大きいかなと 勝手に思ってたりしますが。 これこそ「私達の物語」と考えているダンサーも 少なくありません。ミュージカルの金字塔です。 いま考えてみると「アメリカン・アイドル」などの オーディション番組はコーラスラインに通じる部分があります。 夢を追う人たちの人間性にスポットを当てて、 飛躍するにせよ落選していくにせよ、その姿を撮り続ける。 ドキュメントのほうも、オーディションに参加した ダンサー達を追いかけていく訳ですが・・・ ちょっと編集が甘いのかな。 もっともっと深く知りたいダンサー達が沢山いたし。 コーラスラインという作品の歴史を辿りながらの ダンサー達のドキュメントなので、バランスはいいけど ちょっと、どっち付かずに中盤あたりからなってたし。 それでも印象深いダンサーは多いです。 2つの役の候補として最終審査まで残った女性。 父親もダンサーだったのですが、父は大怪我で引退。 彼女の父親が言うんです。何が起こるかわからない。 ある日突然、夢が終わってしまうかもしれない。 だから最大限の力を見せなさいと。 でも彼女は最後の最後で落ちてしまいます。 気の強いキャラクターの最有力候補だった女性も落ちます。 自分の何が評価されて残ったのか理解できないままで 最後の審査を迎えてしまった事が致命傷となりました。 完全にハマリ役と考えられていた男性も落ちます。 見事なくらいにキャラクターとリンクしていましたが、 やり過ぎて怠慢に思われたのがアウトだったかなと。 最後の最後で落ちるというのは壮絶です。 ショックから抜け出せない人、 新しい舞台でもらった役に没頭する人、 まるで気にしない人、色んな「落ちたダンサー」が 出てくる訳ですが。コーラスラインの曲には 彼らに捧げたくなるような曲があります。 What I Did for Loveという曲。 邦題は多少の意訳を含んで 「愛した日々に悔いはない」という曲名になってます。 これは別れる恋人同士と思われる歌詞なんですけど 劇のなかでは夢に届かなかった人達の思いとして歌われる。 最初に落ちた人。最後に落ちた人。最後まで落ちなかった人。 この曲は、全員が胸を張って 歌える曲じゃないかと思ったのでした。 ちょっと余談になりますけど、コーラスラインは 一応主役っぽい役柄があります。 仕事が2年も無いベテランダンサーで、 かつてはセンタースポットを浴びていたスター。 でも年齢を重ねるにつれて役がもらえなくなり、 思い切って脇役のオーディションを受けるんだけど ダンスが上手すぎて落ちてしまう・・・はずだった。 最初の時点で、マイケルベネットはこの役を 最後に落選するキャラとして考えていました。 そして「愛した日々に悔いはない」を 歌わせるつもりだったのではないかな、と 勝手に想像しています。うん、マイケルベネットは 少しづつ、役がもらえなくなっていく 優秀なダンサー仲間を沢山みてきたと思うんです。 その人達が突きつけられる現実と、 胸を張って舞台を去っていく仲間達の精神も 劇の中に入れたかったんじゃないかなと。 このほうがリアルだし「愛した日々に~」が より輝いて聞こえたかもしれません。 でも劇が公開される前に、落ちるんじゃなくて 受かったほうがいいと沢山の感想を貰ったことで 脚本を変更し、受かるという話になっています。 主役の女性が最後に落ちて、「愛した日々に~」を もし歌ったら・・・素晴らしかったろうなあ。 完全にネタバレですね;すいません。 でもこれ予告編みると誰が受かるか分かるし(笑) まあ、多めに見てください;
by frat358
| 2013-03-15 22:08
| 超ネタバレ映画感想
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