スライディング・ヘディングシュート2


3000坪の冒険と、時々音楽すごく映画。たまにサッカー
by frat358
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カテゴリ:超ネタバレ映画感想( 30 )

異端で、愛国者



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「トランボ」(かなりネタバレ)


ある日、ふと思った事があります。
アメリカには共産党って無いのかなー?って。
事実上、アメリカは民主党と共和党の二択です。
その時に軽く調べて、アメリカでの共産主義政党は
法律で禁止されてると知りました。
以前はアメリカ共産党っていうのが在ったらしく
(現在も細々と活動中らしいですけど)
1950年代に非合法化されています。

この映画の主人公は実在したトランボという名前の脚本家で、
アメリカ共産党の党員であり、
「ローマの休日」の脚本を書いた人であり、
「奥様は魔女」というTVドラマも手がけていて、
でも私にとって何より大きいのは「ジョニーは戦場へ行った」という
映画の原作者であり、映画化の時も脚本を担当した人なんです。


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メタルが好きな人は「ジョニーは戦場へ行った」という映画を
ほとんどの人が知っています。特に90年代のメタルを聞いてた人は
物凄い確率で、この映画を知っています。
へヴィーメタルの世界で最も売れたメタリカというバンドが、
初めて正式に製作した「ONE」という曲のプロモビデオで、
「ジョニーは戦場へ行った」の映像を使用したからです。



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目、鼻、クチ、耳、腕、足を爆弾で失った兵士が、
看護婦に支えられながら病室で生きて、
自分に何が起きたのかを悟っていく恐ろしい映画。
現実の世界はモノクロ映像になっていて、
主人公が夢を見ている時はカラー映像になってました。
「ローマの休日」の脚本家、くらいでは
そんなに興味を持ちませんでしたが、
「ジョニーは戦場へ行った」の原作者となれば
絶対に見ようと心に決めた。決めたのだが・・・
ちょうど、益城のボランティアで熊本市に行ってた時、
上映中だったんですよ。友人と一緒だったので
観光を優先し、断念しました。そしてようやく、ようやく
レンタルが開始されて、ワクワクしながら見たという。


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しかもトランボを演じたのがTVドラマ「ブレイキング・バッド」で
物凄い演技を大絶賛されたブライアン・クランストンとなれば
そりゃあもう・・・見るしかないでしょ。
この人は遅咲きの役者さんで、私が過去に見た映画では
その全てがヘナチョコの中年役。しかも脇役ばかり。
ここ数年で急激に高評価されてる役者さんです。


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それにしても実際のトランボとは顔が似ていない。
気持ちいいくらい似ていない;でも顔が似てれば良いってもんでもない。
ブライアン・クランストンはこの映画でアカデミー最優秀男優賞にノミネート。
受賞は逃しましたが、いずれ勝ち取って欲しい・・・


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最初に書いた通り、トランボはアメリカ共産党の党員でした。
でも活動歴を振り返ってみると、同じ映画会社で働く低所得者の仲間達を
賃金アップさせる事には熱心でしたが、
ソ連のスパイという訳でもなく、アメリカが大好きだった。
現在のアメリカでは野球選手なども組合を作っているし、
ストライキをする事もあれば賃上げを要求する事もあります。
クルマの整備工でさえも組合を作っています。
でもこういった待遇改善を叫ぶと、「共産主義だ」って
批判する声はあります。現在でもありますよね。

最近聞いた話で面白かったのは、アメリカで整備工してる組合員が
「お前はアカだ」って会社の幹部に批判されて

「俺をよく見ろ!頭にカウボーイハット!腰には銃!
背中には星条旗!俺の何処がアカだ!俺はド右翼だ!」


って叫んでて、私を爆笑させましたが。


当時のハリウッドで起きた「アカ狩り」は凄まじくて、
ストライキに参加したり労働者の権利を熱心に話す映画人は
全て共産主義者のレッテルを貼られて失業しました。
失業した映画人達は破産したり、離婚したり、自殺しました。
何年も何年もハリウッドでの「アカ狩り」は続きましたが、
たったの1人もソ連からのスパイは居なくて、
なんの成果も挙げませんでした。
時は流れていき、時代の変化で形骸化していきますが、
ハリウッドでのアカ狩りは1970年代まで続きます。
このとき、最も熱心にアカ狩り活動をしていた映画俳優が
後にアメリカ大統領になるロナルド・レーガンです。



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そんな訳で失業してしまったトランボですが。
偽名を使って脚本を書くようになります。
「王女と無骨者」という脚本を書き上げると
イアン・M・ハンターという友人を経由して
映画会社に売り込んでもらおうとしました。
でもトランボが書いたと知られたら門前払いされるので
イアン・M・ハンターが書いた脚本という事にしました。
「王女と無骨者」というタイトルが
どうしても気に入らなかったイアンさんは
タイトルだけを変更して、売り込みにいきます。



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「ローマの休日」



映画会社は「ローマの休日」の脚本を買い取りました。
金の取り分は半々にしようぜと、トランボは持ちかけますが
イアンさんは書いてもいないのに半分も貰えないよと断り、
1割でいいと話しますがトランボは拒否し、
最終的にはイアンさんが3割。トランボが7割で決着。
どうせヒットしないよ。金が入って良かった。
そこそこ売れるといいね。




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「アカデミー賞、最優秀脚本は~ローマの休日~」



・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・どうしよう。


イアンさんはオスカー像を貰ってしまいます。
でもトランボの家にオスカー像を持っていき・・・


「受け取れよ」

「いや、お前が持ってろ」

「お前が書いたんだろ」

「でもトロフィーにイアンって書いてあるじゃん」

「お前が貰うべきだろ」

「お前が貰ったんだろ」

という感じでオスカー像の押し問答が続き・・・
なんとトランボが「ローマの休日」を脚本した事実は
トランボが死んでから発表されました。
インタビューでイアンさんが思わず喋ってしまい、白状します。
トランボと「死んでも話さない」と男の約束をしてたので
ずーーっと隠し通してたんだとか。









「ジョニーは戦場へ行った」を作った原作者の人生を
追体験する機会だと考えて見ていたのですが、
この映画はトランボと同じ時代を生きた映画人も捉えていて、
見てみると・・・そっちのほうが興味深かったです。
特にカーク・ダグラスのカッコ良さは、本当かよと疑いたくなるほど
メチャクチャにカッコいいです。男が惚れる男って感じで。



政治の世界は共産主義打倒に熱心で、
その波に乗って金を稼ぐ三流役者も多かった。
でも、さすがはハリウッドというか、映画人と言うのは
面白い映画を作ってナンボだと考える人も多かった。

国の方針と時代の息苦しさに押し潰されそうになっても
「ローマの休日」とか「スパルタカス」とか
人間の触れ合いを描いて映画を作っていた人達。
宇宙人と地球人が恋をするようなB級映画を作っていた人達。
時代にも脅迫にも降参しなかったのはトランボだけじゃありません。

「ハリウッドに最も嫌われた男」という副題が付いてますけど
様々な人種や思想が集まっているハリウッドの底力が
実際には描かれていると、思ったのでした。



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トランボは生前に、アカデミー賞で受け取れなかったオスカー像を
欲しいと思いますか?と、質問された事があります。
その時のコメントは、とても感動的でした。

「共産主義者としてブラックリストに載せられ失業した時、
私の娘は3歳でした。それから何年も偽名で働く時期が続いて、
「お父さんの仕事はなに?」と周囲に尋ねられても
娘は「映画の脚本家です」とは言えなかった。
私を守る為に、娘は父親の秘密を守り続けました。
私の娘は戦士だと思います。オスカー像は私の娘に
受け取ってもらいたい」

1993年。
最優秀脚本賞「ローマの休日」のオスカー像が
トランボに渡されました。本人は既に他界してましたが
生前に本人が希望していたとおりに、トランボの娘が受け取りました。




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せっかくネタバレで書いてるので、遠慮せずにネタバレで追記しようと思います(笑)
当時、トランボが偽名を使って映画界で活躍していた事を、恐らく業界の人達は
気ずいてたと思います。それでも事実を声に出すことは怖かったんだろうと思うんです。
国の方針に反することをして、仕事を失った人間を肯定したり評する事は
自分が仕事を失う危険性も、はらんでいた。そういった「ぼんやりした恐怖」というのが
社会全体に浸透していると、少しでも過激な事を言う人とは
出来るだけ付き合わないようにするものだろうなーと。

時代が変化していっても、ぼんやりした恐怖とブラックリストは残っていて、
なかなか足を踏み込んでいく映画人は居なかった。
トランボはヒット作を書ければ仕事が次々と入ってくると考えてましたが・・・
確かに結果を出して新たな仕事が来るんですけど、依頼してきたのは
空気を読まないワイルドな役者と、空気なんて気にしないプロデューサーだけ。
おまけに、偽名で活動を始めてから世話をしてくれてるのは
空気なんて考えた事もないB級映画会社の社長でした。
つまり・・・結果を出しても大抵の映画人は、恐怖のほうが強かったんだと思います。
それでも空気を読まないトランボを招き入れる空気を読まない映画人が3人も居て、
この3人が脅迫や恐怖を無視してトランボを復活させたことで、
映画界の、ぼんやりした恐怖が終わったんだと思います。
トドメがケネディ大統領の「いい映画だね」というコメント。
空気を読まない人達が、息苦しい空気を終わらせた。

ちなみに、空気を読んで行動したジョン・ウェインとレーガンは
途中で映画が追わなくなっていきますよね。
それでもジョン・ウェインが徴兵を拒否して戦争に行ってない事が
映画の場面に登場するので、相変わらずジョン・ウェインという人は
リベラル派から嫌われてるんだなーとか思ったり。

映画の世界で、あまり語られることがない「アカ狩り」の時代は
ハリウッドが思い出したがらない暗部です。
でも、この映画が殺伐とした印象にならないのは
トランボの飄々とした性格が要因だと思います。

民衆が感情的で不安に陥っていた時期に、
最も空気を読まなかったトランボという脚本家のユーモアがある性格によって
アカ狩りの時代を映画化しても、ハリウッドの暗部が息苦しく描かれないで済んだという。
なんだか皮肉な映画だな、とも思いました。












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by frat358 | 2017-05-11 15:59 | 超ネタバレ映画感想 | Comments(2)

21グラム(超ネタバレ)




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「21グラム」








生きている時に体重を量り、亡くなった後に体重を量ると
誰でも21グラムだけ軽くなるという研究結果があり、
これは魂の重さなんじゃないか?という仮説があります。
それがタイトルになった映画です。

いつか見ようと思っていたけど、見ていなかった映画が
私には沢山ありました。でもそういう映画も見尽くして、
これが最後の「見ていなかった映画」です。たぶん。
どうしても見たいのに、どうしても見る気分になれなかった。
気ずけば公開から13年が経過してました。

話も難しいですけど構成も難しくて、時間軸がバラバラになってます。
映画がスタートすると、最初にエンディングを見せていて
その後で大きく過去に戻って、更に過去に戻って、過去と過去の中間くらいに戻って
もう・・・訳が分からないという;
「メメント」っていう記憶喪失の男が大暴れする映画も
こういった感じの過去に戻る構成でしたけど
21グラムはそれよりも更にバラバラになってる映画でした。

さすがにここまでバラバラだと、どの時期を見ているのか分かりにくい・・・
「10日前」とか「1ヵ月後」とか表示される訳でもなく、
いきなり死体が映って、その次の場面では死体になってた人が歩いてたりする。
悪く言えば、物語の余韻が構成によって犠牲になってる。
よく言えば、見てる人の心が振り回される感じ。
かなり変な映画ですから、何処かを切り取ってネタバレせずに書くのは難しい。
この映画が好きな人も、ネタバレせずに書くのは諦めて
好きなように書いてる人が多いみたいです。そりゃそうだ・・・



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ショーン・ペンが演じた主人公ポールは、余命1ヶ月の心臓病患者。
臓器提供者が現れない限り、死ぬ事が確定しています。
別れた恋人はポールの世話をする為に戻ってきていて、
ポールが死ぬ前に、ポールの子が欲しいと思っているので
人工授精での妊娠を希望しています。その恋人役が、
シャルロット・ゲンズブール。(役名、メアリー)


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個人的には主人公ポールの身勝手さが共感できなくて。
この部分が映画の作り的にも微妙だなと。
別れていた頃に中絶したと分かってポールは怒るけど、
自分だったら、そんな決断を1人でさせた事に対して
言葉が浮かばないくらい落ち込むだろうなーと思うので
そんなねえ・・・シャルロットを責めるなんて。おかしいだろと;
誰にも相談せずに思い込んだら一直線な性格の女性なので、
ポールは自分の気持ちを置き去りにされてると感じたのか
どんなに愛されても疑念を持ってしまいます。
てゆうかさ、そういう面が嫌いなら話し合えばいいじゃん。
なんで捨てるんだよ。

というか私だったらシャルロット・ゲンズブールを捨てるなんて
絶対にしませんから。シャルロットが私を捨てるなら納得するけどね。
その逆は、無い。
シャルロットが捨てられないと映画が成立しないけど・・・
いや、もう映画を壊してでもシャルロットを(ダメか)



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話を映画に戻して・・・ドナーを待つポールに臓器提供者が現れます。
臓器提供者の奥さん役に、ナオミ・ワッツ。この映画でのナオミ・ワッツは
スッピンも見せるしオッパイも見せるし、凄い女優魂を感じさせながら
物凄い演技を見せて大絶賛されましたが、私も納得。
子供2人と夫を交通事故で失い、失った直後に死んだ夫の臓器提供を求められ
心の整理が付かず、ボロボロになってしまいます。


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そしてナオミ・ワッツの夫と子供2人を
車で轢き殺してしまう男が、ベニチオ・デル・トロ。
この人が出てる映画は、ここ数年で沢山見てるんですけど・・・・・
演技が上手というよりも、顔で得してるんじゃないかなーって長く思ってました;
独特な風貌なので、怪しい役をさせるとハマるんです。顔のせいです。

この映画では犯罪者だった過去を悔い改めて、熱心なキリスト教徒になった男を演じました。
キリスト教の団体が行っている、犯罪者の自立支援みたいな活動をしてたのですが、
首に入れ墨がある為に苦情が来て、キリスト教団体から解雇されてしまい。
落ち込んで前方不注意になっていたところで、3人轢いてしまうんです。
つまり、犯罪ばっかりしてた頃でも殺人なんてしたことなかったのに、
神を信じるようになったら3人も殺してしまったので、何も信じられなくなります。


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彼のおかげでポールの命は助かり、ナオミ・ワッツが演じた女性は人生が地獄になり、
シャルロット・ゲンズブールは捨てられて・・・まあ、この人が原因なんですけど;



↓ここから決定的にネタバレ↓



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思い込み激しい系のシャルロットが死んでしまう訳ですが、
理由は明かされないですけど、ポールに捨てられたから、と思うんです。
子供が欲しいだけだったらポールの精子も手に入っているし、
ロンドンで産めば良かった訳で。ポールを嫌いになったのなら
違う男と作れば良かったと思うのね。でも死んじゃうじゃん?
てゆう事は・・・
ポールが余命一ヶ月と聞いて、やっぱりこの人が好きだと思って
看病の為に戻ってきてたんだろうなと。ポールが死んだあとも
ポールとの子を授かる事で生きていこうと思ったんだろうなと。
なんて可哀相な子・・・


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終盤でポールが「すべきじゃなかった!間違いだった!」って叫びますけど。

そうだ!お前がナオミ・ワッツの尻なんか追うから
シャルロットが死んじまったじゃねーかああああ!!!
お前が撃たれろ!撃たれちまえええええ!!!・・・って。
いま考えてみると、思います;


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正直に言うと、これと同じような話は結構、世の中には在るんです。
漫画のブラックジャックにも在ります。
21グラムを魂の重さ、命の重さと考えれば
探せば見つかるような話だと思うのですが、この映画の場合は
21グラムは本当に魂なのか?人が生きた苦しみの重さかもよ?とか、
死ぬ事によって苦しみを解き放つのかもよ?とか
色んな考え方をさせて、見た人に持ち帰ってもらおうとしてました。
この部分だけ説明的な台詞が最後に在るので、
ハッキリさせたかったんだろうなーと思うし、独自の点だと思います。


アカデミー賞で大人気の、イニャリトゥ監督の過去作でしたが・・・
この人は斬新な映画を撮ろうと意識してる部分があって、それ自体は応援したいけど
ちょっと、やり過ぎちゃう点があるなーって思います。
時間軸をバラバラにする技法自体は肯定したいけど、やり過ぎちゃってて
序盤は掴みどころが、無さ過ぎます。
世の中には最初に興味を持てないと寝ちゃう人だって居るし
見る人を選ぶくらい、難解な構成だと思いました。


これでイニャリトゥ監督の映画を、見れるものは大体見ました。
「バベル」と「レヴェナント」が特に好きです。と、ようやく言えるようになった;
1本だけ選ぶなら「バベル」・・・という感じです。




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by frat358 | 2017-05-02 13:55 | 超ネタバレ映画感想 | Comments(2)

二度見する。




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「ビフォア・サンライズ」(超ネタバレ)



電車の中で意気投合した旅行中の2人が
1日だけ恋人になり、別れる話。

・・・文章にすると2行で済んでしまうのに、好きな映画です。
リンクレイター監督の映画は嫌いだっていう人も居るし、
現場では、かなり役者に対してアドリブを要求したり
意見を求めて映画に反映したりするタイプの監督です。

俺の言う事は絶対で、監督は映画の神様で、
どんな要求も躊躇せずに「はい!」と言え~みたいな監督も
そんなに少なくない世界です、が。
リンクレイター監督の場合は、その真逆と言えます。


サンライズのエンディングは・・・

「絶対に1年後の同じ日に、ここで会おう」

「何があっても来るからね」

「必ず、会いにくるから」と言って・・・

2人は別れて映画は終わりますが・・・1年後、来ません。

来なかった事が明らかになるのは続編のサンセットなんですけど、
この3部作は最初のビフォア・サンライズだけで
終わっても良かったかなーって・・・改めて思いました。



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正直に言って「サンライズ」の続編だった「サンセット」は
外伝みたいに思えちゃって、微妙だなーと思うんです。
夫婦ケンカが中心になっている完結編の「ミッドナイト」は
大好きなんですけどね。

たった1日だけど、本気で好きだった。
2人が1年後に再会したかどうかは、分からない。

このほうが良かったんじゃないかなーと;



エンディングで2人が別れたあとに、
2人で過ごした場所に夜明けの太陽が昇るんですけど
誰も居ないんですよ。早朝だし。
早起きの爺さんとか婆さんが歩いてる程度で。
あんなに幸せだったのに、数時間も経ったら
誰も居ない場所なんだなーとか、
それでも、この場所で2人が居たんだなーとか。
余韻を与えながら、1年後は謎のままで終わったほうが
自分の感性からすると、好みなんだと思います。



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by frat358 | 2017-05-01 21:55 | 超ネタバレ映画感想 | Comments(0)

シチズンフォー(超ネタバレ)

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「シチズンフォー」

よーーーやく見ました。
もっと早く見ろよって話ですけど。
スノーデン事件の経緯を細かく知る上では
非常に完成度の高いドキュメントだと思います。

ある日、被害妄想の患者ではないか?と疑うほど
警戒心の強い情報提供者が現れます。
匿名でシチズンフォーと名乗る人でした。
のちにエドワード・スノーデンという実名で
世界を震撼させる当時29歳のNSA派遣社員。
派遣社員って聞くと下っ端かと思いがちですが、
諜報機関の場合は派遣社員だけが
重要な仕事を任されるそうです。
NSA派遣社員の年収は数千万円らしい。
そんな彼がジャーナリストに情報提供したのは
NSAの「全て」でした。

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スノーデンの写真は何度も見た事ありますけど
話してる映像は、初めて見ました。
なんというか・・・とても頭が良い人だと感じた。
文系と理系をミックスしたような人柄というか、
自分が洞察して思考した事を
言葉を詰まらせずに次々と話すというか。
ユーモアのセンスも持ち合わせていて、
こんな事さえ無ければ派手に出世したろうなと・・・

スノーデンが情報提供をする際に危惧したのは
こういった巨大スキャンダルが発覚した時、
情報提供者個人にスポットが当たり過ぎる事でした。
スノーデンとは何者なのか。どんな人間なのか。
メディアは人柄に焦点を当てすぎて
本来の論点を逸らしていく趣向があり、
それを避けるために自分の名前や姿などは
情報公開後に行いたいと要望しました。
NSAの活動を充分に考えていただいた後なら、
映画化なりスノーデン特集なり、
メディアがやりたがる方針をどうぞやってくださいと。
でも自分が生活を捨ててでも告発するのは
有名になりたいからではなく、NSAの危険性を
世界中に伝えたいからなので、そこはちゃんとしてくれと。


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ホテルに滞在しながら数日間に渡って、
NSAのデータを見せつつ説明を始めるスノーデンですが。
偶然なんですけど、始めようとしたら火災探知機が
ジリリリって鳴り出すんです。話を中断すると
探知機の音も止まる。話を再開すると探知機が鳴る。

「では、NSAの実態について話を始めます」

   ジリリリリリリ・・・・・

「・・・・・・・・・・」

   ・・・・・・・・・・・・

「・・・この組織は非公開にしている活動が」

   ジリリリリリリ・・・・


すみませんあの、見てて凄く怖いんですけど・・・
盗聴されてんのかなって思いつつ、
フロントに連絡したら探知機のテスト中だと。
なんだ・・・驚かせやがって・・・
安堵して話を再開するんですけどジリリリリリ・・・
話すなと言わんばかりに鳴り続ける探知機。
やっぱ怖い・・・なんか怖い・・・・・

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ホテルで情報提供を続けるスノーデン。
数日が経過したところで電話が入ります。
同居している彼女からでした。
スノーデンは彼女を巻き込みたくなかったので
彼女との旅行中に「出張が入った。ごめんね」と
書き置きしてホテルに来たのでした。
もう二度と会えなくなる可能性が高いです。
スノーデンは平静を装って彼女と会話します。

彼女によると、家賃を滞納していますよと
連絡が来ていると。不思議だ。自動引き落としなのに。
何処かの誰かさんが口座を止めたのでしょうか。
それと自宅の周囲に工事する人が沢山来ていて、
朝も夜も帰ろうとしないと・・・
どうやら既に、スノーデンが裏切った事を
NSAは気ずいたみたいですね・・・


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世界中の、あらゆる大使館への盗聴。
フェイスブックやグーグルなどから
情報提供を強要、協力させて
利用しているユーザーのメール、文書、写真、
通話、利用記録などを収集。(PRISM監視プログラム)

電話会社と連携して通話時間や通話内容の盗聴。

あらゆる通信手段を用いた行為を
世界規模で監視する組織、NSAの実態が
スノーデンの情報提供により、
証拠付きで明らかになっていきます。

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スノーデンによると、
日本のNSAは横田基地、嘉手納基地、横須賀基地、
三沢基地、アメリカ大使館に存在し、そのなかでも
アメリカ大使館は官庁や国会に近いため、
情報の収集部隊が配置されてるとのことです。

集めた情報は中国、韓国、台湾の情報と一緒にして
アメリカのオレゴン州北部、ヒルズボロという場所へ
海底ケーブルを使って光通信が受信しています。
この事業に、日本からはNTTが協力してます。
いつの間にか私達の国も北朝鮮を笑えないような
高度な監視社会に仲間入りしてるのでした。
日本で強行採決された秘密保護法も、
NSAの活動を日本で円滑にする為に、
アメリカがデザインして要求した法案らしいです。

恐らく実際のNSAは、政治犯や反乱分子集団などを
事前に把握する為に監視してるとは・・・思えません。
今の世の中、そこまで物騒じゃないです。
じゃあNSAは何をしてるんでしょうか。

テロ対策として規模を拡大してきたNSAですが、
実際に日本で盗聴しているのは主に金融と貿易関係で、
テロと関係ない情報を集めているとしか思えません。
内閣府や経済産業省も盗聴されていました。
・・・首相や官僚って、テロリストですか?
NSAは完全に暴走を起こしていて、
世界中を監視する事でアメリカに都合のよい新世界を
作ろうとしているのかもしれません。
「しれません」じゃなくて、そうなんでしょうね;


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スノーデンはアメリカ政府から逮捕状を出された頃には
香港へ向かい、付いていく事を決めた彼女とロシアで合流し、
現在も亡命中。NSAは今も元気に暗躍しています。

息子ブッシュが大統領だった共和党時代に誕生し、
オバマが扱っていた世界監視システムNSAは
今年、トランプ新大統領の手に渡ります。。。
私がオバマなら今のうちにNSAを解体しますけどね。
そんな事が不可能なくらい巨大化してるかもな。



監視や盗聴で、テロを防ぐ事は出来ません。
「何処かを狙え」とか「誰かを殺せ」なんて指示は
無線も電話もメールもチャットも使いません。
テロリストが情報伝達に使うのは紙とペンです。
情報を伝えたい相手に会い、紙に伝えたい事を書き、
それを読んでもらった後は、紙を燃やすなり破きます。
原始的ですけど、これが一番確実でバレません。
指示をした相手が誰なのか、どんな作戦なのか、
そういった情報は、証拠そのものを残しません。
更には捕まった場合を考慮して、実行犯には
作戦の全体像などを伝えません。誰かが見つかっても
全体が破綻しないように情報を制御して伝達しています。

ラディンが捕まった時も盗聴で居場所を探したのではなく
発見できた要因は、交渉に交渉を重ねた内部告発でした。
テロ対策の為に法を無視して世界を監視してるなんて
嘘はっぴゃく。世界最高レベルの詭弁です。

基本的には映画のネタバレは書かないようにしてますが、
国や生活を捨ててでもNSAを告発した男の映画なので、
広めてやるのが彼の願いだと思い、簡単にまとめました。
この他にも信じられないような匿名情報が出てきますので
興味のある方は見てください。









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by frat358 | 2017-01-12 17:10 | 超ネタバレ映画感想 | Comments(0)

ガープの世界

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主演はロビン・ウィリアムズ。
古い映画です。132分と長いし、
掴みどころがないような、説明も難しい変な映画です;

本当に説明が難しいので、ネタバレでいいですかね・・・
原作も有名らしいんですけど、
映画化も非常に上手く出来たと評価が高いです。
しかし・・・これは、一体なんなんだ;
訳が分からないというか、ストーリーが異常なので
見ていて翻弄されます。看護婦だった女性が
第二次世界大戦の最中で今にも死にそうなのに、
勃起している兵士を見つけます。
結婚したくないけど子供だけは欲しかったので
その男に跨って、看護婦はセックスしてしまいます。
兵士は射精すると死んでしまいました。
これによって生まれたのが、ガープという主人公です。

幼少のガープは父親が欲しかったのですが、
こういった経歴で生まれましたから諦めています。
子供になるとガープはレスリングをしたがりますが
母親に止められて、諦めてしまいます。
少年になるとガープは小説家になりたいと思うのですが
母親も小説を書き始めて母親のほうが小説家デビューして
爆発的なヒットを生み出して母親が大金持ちになります。
青年になると大好きな女性と出会うのですが、
幼馴染みの女性に誘惑されてセックスしてしまい、
その現場を大好きな女性に見られてしまいます。

ガープの人生は「なんでこうなるの?」ばっかりです。
この後も、ガープには不条理な出来事が次から次へと起きます。
何かの冗談みたいな不条理の連続は、ガープが死ぬまで続きます。
なかでも凄いのが、ガープが結婚して新築の家を買ったら
その家に飛行機が突っ込んでくるんですよ;
もうそんな、メチャクチャな事が沢山起きます。


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上の画像はジャケットになった笑顔のガープですけど
家に飛行機が突っ込んでるのも描かれてます。


どうして、こんな目に遭うのかと言いたくなるような
苦しい出来事を、喜劇として表現している映画で。
何も悪いことをしてないのに、酷い目に遭う確率は
0.025%らしいですけど、ガープの人生は生きれば生きるほど
100%の確率で酷い目に遭ってしまいます。
でもガープは酷い目に遭いながら成長し、
何が大事かを知り、大事だと思うことを守り、
人生を生き抜きます。しかしそれでもガープには
不条理な出来事が起きます。もうね、さすがにね、
130分も不幸が起きれば鈍感な私でも気ずくんです。
ああ・・・人生って、こういうもんだなと。
考えてみればガープの奥さんも、
自分を傷つけた相手と結婚してるので不条理だし、
ガープの親友も女に生まれたかったのに
男に生まれてしまった不条理を抱えてるし。
ガープのお母さんも、子供は欲しいけど
男は大嫌いという不条理を抱えてましたね。
どんなに好きでも結ばれなかったり、
どんなに大事にしても12年で死んでしまったり、
生きるってのは不条理なものなんだな、と。
このタイミングで「ガープの世界」を見たのも
何かの縁かもしれません。難解な映画ですけど
見た後に考えてしまうような深い作品でした。
見た直後は「なんじゃこりゃ」って思ったけどね;
ゆっくり考えてみると、よく出来た映画でした。

遭遇した不幸に傷つき、傷つけた相手を責めて
怒り狂っても、誰も幸せにならなくて
自分の思いに従って解決していくのも感動的ですけど、
でもさ、あの子、あの・・・根暗なメガネの子。
あの子はガープとの対比だよね。
ガープは乗り越えていくけど、あの子は不条理に出会う事で
どんどん屈折していき、遂には・・・という。
(さすがにこれは伏せますけど)
それでもガープが人生に屈しないのも、
これまた凄いというか。そうだねえ・・・
傷ついたら落ち込んでも構わないんだけど、
屈しない事が大事なのかもね。





この映画のテーマソングが、ビートルズの・・・
「僕が64歳になっても」という曲なんです。
日本には「私がオバサンになっても」という曲が
ありますけど・・・それの元ネタみたいな曲です。

僕が爺さんになって 髪が抜け落ちても
今の想いを忘れずに 愛のプレゼントをください
夜中に帰って来る時も 追い出したりしないで
いかないで 見捨てないで
僕が64歳になっても

こういう歌詞なんですけどね。
ロビン・ウィリアムズは63歳で亡くなったので
なんだか皮肉です。64歳になる前に逝ってしまいました。
いかないでって言いたいのはコッチのほうですね。



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by frat358 | 2016-12-16 05:44 | 超ネタバレ映画感想

走るな危険(超ネタバレ)

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「監督ばんざい」

北野武という監督は、評価が高いんですけど
大衆レベルでのヒット作は極めて少ないです。
数えた訳じゃないですけど、この映画の中では
1本しかヒット作を出せていないと評されてます。
それなのに、あえて評判の良いギャング映画を
自らの意思で封印し、違うジャンルの映画に
挑戦していく姿をコメディーとして表現してます。

なので、この映画の中には映画が沢山はいってます。

「定年」

「蒼い鴉 忍 PART2」

「追憶の扉」

「約束の日」

「コールタールの力道山」

「能楽堂」

他にもタイトルが決まらないままで
ボツになってしまったギャング映画など。

「約束の日」以外は完結してません。
途中まで作って、途中で辞めてます。

個人的にツボだったのは、目が見えない画家を
主人公にした映画。途中まで製作してたのですが
目が見えない人が、どんな絵を書くのか分からないと
美術担当に言われ、そう言われてみればそうだねと気ずいて
いろんな人に相談してみるのですが・・・
誰も分からなくて。製作中止になったという。
てゆうか製作が始まる前に、どうして気ずかなかったと
怒られてしまったそうです。
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芸術は、何をしたいかは分かっているけど
やってみないと分からないっていう面が、あって。
なんでもそうかもしれませんけどね。
私も曲を作るときは、こうしようと思ってスタートしますが
作り終わってみたら、まるで違う曲になる事はあります。
評判の良いピアノ曲があるんですけど、
それも最初の時点ではアップテンポのダンス曲でした。
操作を間違えてテンポを下げてしまったんです。そしたら
あれ?ゆっくり演奏したほうが良くないか?と思って
そのようにしたら気に入ってくれる人が続発しました。
偶然とか、翌日に聞いてみたら違う印象を感じて、
その違う印象を優先したら上手くいくとか。
芸術の世界では、よくあるんです。でもこういう流れって
予算を出してくれる人や、商業として発売日を決めて
商品として待っている人達は、物凄く困る訳です;
作ってみたんだけど信じられないような駄作になっちゃった。
許してニャンって言っても、許してもらえないんですよ(笑)
当たり前だろって?そうですね、当たり前です。
でもまあ、そんな世界です・・・

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この映画の中では、苦悩する北野武と一緒に
必ずタケシ人形が居ます。苦しんでいる本人と違い、
タケシ人形は首を吊ったり海に沈められたり
燃やされたりします。でもタケシ人形は死にません。
チンピラが殴りかかっても、タケシ人形を
倒すことは出来ません。北野武という人は
ビートたけしという芸人としての自分も持っていて、
たとえ映画がヒットしなくても、ビートたけしは
それを笑いのネタにして人を笑わせる事が出来ます。
ピンチになるとタケシ人形に変身して乗り切るのも
そういった暗示として登場させてるのかもしれません。

最後に登場する「約束の日」も、酷い出来です(笑)
「約束の日」というのは、どういう意味かというと
死ぬ日、という意味です。生きている全ては
死ぬ事が決まっています。それは人間だけじゃなくて
木だって死ぬし、地球も、いずれ死にます。
生きている全てのものは、死も同時に与えられていて、
その事実から逃げる方法はありません。
なのでそれは、死ぬ日ではなくて約束してる日なんだと。

約束の日が訪れるまでに、どんな事が出来ますか?っていう
実は崇高な映画なんですけど、軽くSFっぽい設定だったり
バカな事ばっかりしてる人が居たり、お金に執着してる人が居たり
色んな人が出てくるんですよ。プロレスラーも出てくるし。
これがね、バランスがメチャクチャ悪いんです(笑)
サジ加減というか、伝えたい事が全然伝わらない。
実際に撮影してみたら。。。うまくいかなかった。
もしくは脚本の時点で、こりゃダメだと気ずいてしまった(笑)
途中までの制作費だけが借金として残ったり、
時間が無駄になったりする。

でも私は北野武監督の映画を、全部とは言わないけど
ほとんど見てる人間として、この映画が1番好きです。
愛の塊みたいな映画だと思います。




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「アキレスと亀」

ギリシャ神話だったと思うんですけど、
アキレスが、永遠に亀には追いつけないという
数学の理屈で作られた話があって。
その話がタイトルになってます。
アキレスが走っても、亀も歩いているのだから
永遠に亀には追いつけないという、お話です。
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この映画は・・・
面白い点と言うか、分かりやすくしてでも
シッカリ伝えておこうとしてる部分があって、
それは、売れるか売れないか~なんて
物凄く些細で、小さな事だっていう視点です。
絵描きは、絵を買ってくれる人が居ないと
生活できない訳ですが、じゃあ買ってくれる人が
絵をどれだけ理解してるか、愛してるかというのは
かなり未知数というか不透明です。
名画を買う人の理由も、実際は税金対策だったり
威張り散らす為に価値のあるものを
欲しがってるだけの場合が多いし、
買い手が自分の感性や鑑定力に自信を持てなくて
画商が話す言葉に騙されるなんて多々です。
この映画の中で、そんな場面を何度も見せてました。
そんな中で、主人公が少年時代に否定された絵が
作者不明で価値の在る絵になってたりします。
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でも、売れなくてもいいんだっていうほど
乱暴なメッセージの映画じゃ無いと思うんです。
誰だって売れたいし、愛されたかったり
認めて欲しかったりするもので、
でもそれは自分の努力だけでは、どうにもならない。
アキレスと亀の話のように、どんなに走っても、
望みが叶うかは分かりません。
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例えば・・・
目的もなく、ただ生きている人を亀とします。
それとは逆に目的があって、目的に早く到達したいので
走っている人をアキレスだとします。
でもアキレスは、どんなに走っても
ゴールに辿り着けません。それどころか
自分の前をノロノロと歩いている亀にさえ追いつけない。
亀を追い越すどころか、亀が手に入れている幸せさえ、
アキレスは走ってるのに手に入らない。
この映画の主人公は、物心ついた時から走ってます。
授業中も絵しか描かない。家の中でも絵しか描かない。
絵を描く以外は、何もしません。
出会った人達がそれぞれの人生を楽しんでいる中で、
走り続ける主人公は、妻さえも娘さえも苦しめていき、
誰も幸せに出来ません。


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努力しても報われず、全てを捧げても報われず、
何を描きたいのかも見失い、遂には炎の中で
絵を描くに至るのですが、全身大火傷(当たり前)
その中で手に入れた燃えカスの空き缶を
彼は20万円で売ろうとします。彼にしてみれば
それだけの価値がある。でも自分以外の人間には
ただの空き缶でしかない。ここまで分かりやすくなると
私みたいな人間は涙が止まらなくなってしまいます;




この映画のラストは、
主人公が絵を辞めたって言う意味では無いと思うんです。
走るのを辞めたっていう意味なんだろうなと。
走らずに、歩いていこうと決めた事で、亀に追いつく。
亀を追い越せるかは、誰にも分からない。
出会った人を大切にして、人生を楽しみながら
歩いて向かえばいいんだよと。ずっと走ってると
心を病んだり、心が荒んだり、命を終わらせたくなったり。
ロクなもんじゃないぞと。

色んな成功者の話を聞いていると、一番多いのは
「気ずいたら、ここに居た」という人生観です。
走って掴んだ地位じゃないんですよね。
成り行きに身を任せて、その場所で求められる事を
1つずつ重ねていったら、いつの間にか軌道に乗ってた。
そういう人が、凄く多い。走ってる人からすると
悔しい現実ですけど、走れば叶う訳じゃない事は
認めたほうが良いのだと思います。自分の為にね。

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北野武監督は本当に、死ぬほど彼の映画を
愛してるファンが居るんです。
でも、そのファンの「数」は、北野映画を
大ヒットさせるほどの人数じゃない。
それは残念な事かもしれませんが、
やるぞ、と思うたびに映画を作って、
この姿勢を映画界で続けているという事は
充分に満ち足りている監督人生だと思います。
その姿は、走らないアキレスと言えるかもしれません。



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by frat358 | 2016-11-20 19:31 | 超ネタバレ映画感想

世界で2番目に危険な男、と呼ばれた男

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「ブラック・スキャンダル」

ジョニー・デップが演じた実話ベースの映画。
アメリカでは有名な犯罪者らしいです。
アイルランド系アメリカ人の、ジミーという男。
通称ホワイティ。ただしホワイティって呼ぶと
キレるので、呼ばないほうが良いかもしれません;
薄い髪の毛をオールバックにしてたのが特徴なので、
ジョニーデップも同じようなメイクにしてました。
髪型を似せる事は顔を似せるより簡単かもしれませんが
薄毛の人は髪質も特徴的なので、それを再現するには
特殊メイクのカツラを用意するのがベストだと思います。

ボストンのチンピラだったジミーは、
幼馴染みでFBIに勤める友人から
FBIの情報屋になって欲しいと依頼され、
ジミーの活躍でマフィアの壊滅に成功します。
しかしFBIはチンピラのジミーに借りを作ってしまい、
ジミーがどんなに悪さをしても逮捕しないという
悪環境が生まれました。

ジミーは息子を病気で失い、その際に妻とも破局。
性格が荒れまくって悪さもパワーアップ。
壊滅したマフィアの縄張りを自分のテリトリーにし、
ありとあらゆる犯罪を仕切るようになっていきます。
ある日、仲の良かった母親も亡くなり、
葬儀が終わると「静かだな・・・」とポツリ。
部屋から音がしなくなった事に気ずきます。

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最終的にジミーは新しい捜査官に追われる状態になり、
オサマ・ビン・ラディンの次に賞金が高い指名手配犯に。
逃走生活になりますが、ずっと捕まりませんでした。
捕まったのは2011年です。16年も見つからなかった。
ジミーの仲間は逮捕状が出されると一瞬で捕まりますが、
ジミー本人に関してはFBIが捜索を担当していたので。
恐らく、それが捕まらなかった理由だと思います。

個人的に興味深かったのは、ジミーという犯罪の帝王が
逃走する際に、キャサリンという愛人だった女性を
一緒に連れて逃げたことです。
ジミーは仲間の裏切りを予感すると必ず殺してますが
誰かと一緒に逃げれば捕まる可能性が高くなるのに
ずーっとキャサリンだけは傍に置いてました。
この女性はジミーが逮捕された時も一緒で、
ジミーは逮捕されると悪態を見せましたが、
キャサリンも一緒に捕まる事を予感すると
態度を軟化させたそうです。
ジミーは、一緒に逃げてくれたキャサリンが
警察から酷い扱いを受けない為に自己犠牲を見せました。
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ジミーはアメリカの犯罪史上、最悪レベルの犯罪者ですが、
どうしても手元に置いておきたかったのは
愛してくれる人だったのかもしれません。
息子を失い、妻を失い、母を失い、
犯罪を重ねた事で、議員だった弟とも疎遠になった。
恐怖で抑えつけて忠誠を誓わせた仲間達は
風向きが変わると一斉にジミーを裏切りました。
でも幼馴染みのFBI捜査官は最後まで
ビリーを守って、裏切りませんでした。
実はこのFBI捜査官というのは子供の頃に、
ずっと集団からイジメを受けてたんです。
その時に、たった1人でイジメっ子グループに
殴りかかって助けてくれたのがジミーだった。
彼にしてみれば、その時のジミーこそが
どんな正義よりも正義に見えたのかもしれません。
警察から逃げて16年も逃亡したジミーも、
愛される事と愛する事は破棄したくなかったのではと。
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そういえばジョニー・デップもアンバーという女性と
結婚してから、色んな事がありました。
娘との関係が悪化したという噂もあり、酒を飲む頻度が多くなった。
式典に泥酔して現れ、卑猥な言葉を連発して
業界関係者からの信頼を失ったり。

ジョニー・デップにジミーを演じさせるなんて
なんだか皮肉というか、恐ろしい思いつきですけど、
幸いにしてジョニー・デップは良き友人が多く、
やりたい事も、求められる仕事も失っていません。
ジョニーがジミーのように、失った傷に耐えられず
世界を傷つけるような人間に成らない事を祈ります。







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by frat358 | 2016-11-16 01:42 | 超ネタバレ映画感想

何があったんだろう。

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宇宙人をグーで殴ってから20年。
奴らが帰ってきた・・・の、だが。
映画界は露骨な中国ヨイショが蔓延し、
もはやハリウッドもハリウッドでは無かった。
この記事が検索されて沢山の方に読まれてしまったら
レンタル開始になったばかりの商品価値が下がる。
映画関連の端っこに居る人間として、それは避けたい。
でも金を払って見た映画好きとしては感想を書きたい。
なので、映画のタイトルを書かずに感想を残します。
スラへディを普段から読んでくれてるアナタだけに、
アナタだけに叫びたい。九州の中心から叫びたい。
この映画は・・・


信じがたいほど、つまらない。


1億ドル以上も使って・・・
この酷さは恐らく映画史に残ります。
長く、長く、語り継がれていくと思う。
スタッフの行く末が心配になるレベル。
アメリカ映画ファンの感想が的確なので幾つか紹介します。

・前作はバカで楽しくて、ちょっぴりロマンがあったけど
今回は最初から最後までバカなだけだった。

・地球が滅べばいいと思うほど退屈だった。

・前作もバカな映画だったので、バカなのは許せるが
つまらないのは許せない。

これだけ短文で、これだけ的確に表現するなんて
さすがアメリカの映画ファンだなーと感心してしまった;
私は、もうちょっと具体的に感想を書こうと思います。


・前作の出演者達を観客が思い出せない。

リアルに20年間も経過してからの続編なので
前作が好きな人でも20年前に見た映画だから
なんとな~くしか、思い出せないのに、
リアルに老けた前作の出演者が何も説明なしで
次から次へと現れます。それぞれが置かれている状況も
表現が気薄なので、知ってるキャラクターなのに
感情移入が出来ません。

・中国ヨイショと説得力の無い地球思想

ヒロインが中国人の女性で宇宙ステーションの上司も
中国人です。2人は親子なのですが見せ場がありません。
正確には一応あるんですけど、
はい見せ場つくりました~的な
適当で場当たり的な描写しかありません。
中国人を出してヨイショするのならば
映画人である以上、中国を勉強して
文化圏を感じさせるべきだし、
その上で地球の仲間という発想へ導いていかないと
説得力がありません。ヨイショするなら
ちゃんとヨイショして欲しい。

・多くて、薄くて、速い。

とにかく内容が薄い。何もかも薄い。
良い仕事が出来たのはCGスタッフだけ。
そのCGさえも前作の使いまわしみたいな要求が多く
観客に驚きを与える事は出来ていない。
音楽も展開の速さに付いていくのが精一杯で
ほとんど印象に残らない。
前作の登場人物も扱いが粗いので印象に残りずらい。
新キャラも大勢出てくる割には
居ても居なくても良いような役回りだらけで
みんな感情表現が一本調子でメリハリも無い。
人物の立ち回りも意外性が全く無い。
セリフ回しも同じ調子が続くので
印象に残る言葉が無い。溜めが無いんです。
無い無いだらけ。何もかも在るのに何も無い。
というか映像もセリフもアクションも
ずっと一本調子で、しかも速いんです。
ダイジェストを2時間見てる気分になりました。


よくよく考えてみると、この続編が酷いのは
当然の成り行きだったのかもしれません。
考えてみると、この映画の良さは

・宇宙船がデカい。CGが凄かった。

・宇宙人が友好的ではなく攻めて来る。怖い。

・ウィル・スミスのユーモアが光ってる。笑える。

この3点だったと思うんです。
でも宇宙船の大きさと攻めてくる点は
前回と同じっていう感想になるし
ウィル・スミスはギャラが高すぎて起用できない。
続編は良い所が無くなってしまいました。
しかしだ。それらを踏まえて考えても
内容が薄いのは脚本の出来が悪いせいだし、
台詞回しが速く感じるのは撮影の責任が大きいし、
展開が速く感じるのは編集のせいですから、
映画が長所を失っていても
緩急を出すことは可能な訳で。
それさえも出来てないってのは・・・
いったい、お前ら・・・何やってんだ?と。

今はネットの時代で、公開された映画の感想は
すぐにネットで書き込まれます。
総合サイトを見れば満足度も一瞬で分かってしまう。
そんな厳しい環境下に在る中で、
21世紀に燦然と輝く駄作を作った割には
世界規模での興行収入が2億ドルを超えて黒字なので、
ある意味では助かった、良かったかもしれません。
しかし最も重視されやすいアメリカ国内での収益は
完全に赤字。大作映画の場合は国内でアウトというだけで
会社が倒産する場合もあるし、本気で心配になる・・・
初公開が韓国だったり露骨な中国ヨイショがあったりするので、
アジアでのヒットを狙った可能性もあるけど・・・

前作は8億ドルの大ヒットで、満足度も高かったから
そのおかげで続編も見てくれる人が多かったのかな。
でも今では2の内容が分かった状態になってるから・・・
販売も不調になるだろう、グッズも売れないだろう・・・
予定されてる3作目は絶対に止めたほうがいい;
もう完全に作品への信用が地に落ちてるので
こんな調子で更に続編なんか作った日にゃあ・・・
数千人規模の人間が社会的な意味で死ぬかもしれん。
というか今回の映画は、
続編の企画を出した20世紀FOXが
脚本を見た時点で止めるべきだったと思います。


2時間近い長さなのに、見てる人は
何も印象に残らないという恐怖・・・
これが20年ぶりに戻ってきた、あの映画の続編かと。
繰り返しになりますが、
とにかくダイジェストを見てるような速さが
2時間も続く映画なので、凄く疲れました。
前作が大好きなので、そういう意味でも疲れました。
深く、深く、疲れました。傷ついたのかもしれない(笑)
翌朝も抜けないような疲労を負いました。

み、みんなも・・・見てみる?




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by frat358 | 2016-11-05 13:47 | 超ネタバレ映画感想

新・真・神・清・審


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「シン・ゴジラ」日本映画
(ネタバレを含みます)

まだ上映してるかなーって祈るような気持ちでネットを調べたら
金曜までは確実にやっていた。よし行こうと思ったら
母が体調を崩して病院に行きたがったので、そちらを優先。
金曜の夜に再び上映スケジュールをチェックしたら更新されてて、
なんだ。まだ今週は間違いなくやってるじゃん・・・
じゃあ行こう。すぐ行こう。

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ほんと久々の遠出です。10ヶ月ぶりくらいかな・・・
ああ、益城に行ってるから、そんなことないか。
でもあの時はQさんが居たしな。1人で遠出は本当に久しぶり。
ナビも壊れてるけど宮崎方面は慣れてるし大丈夫だろうと思ったけど
さすが方向音痴。どこで左折するのか分からない;

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ヤバかったけど、なんとか到着しました。
いつも徹底的にガラガラで独りぼっちで見るんですけど。
いつ潰れるか心配になるんですけど~さすが土曜日。
さすが「君の名は。」(←見てない)それなりに客が居ました。
10分前には着いたので「ノーモア映画泥棒」の変なCMも見れた。



これね。最初に見た時は「なんじゃこれ」って腹が立ったし
映画館に来るたびに見させられるからイライラしてたんですけど
最近はコレを見てから映画を見ないと調子狂います。
いつもはガラガラの1人鑑賞なので、これを見ながら
一緒になって踊るんですけど(さすがに座ってますが)
今回はお客さんが入ってたので軽くしか踊れませんでした。

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ようやく映画の話を始めます;これはー・・・凄いと思いました。
というか私は、泣きました(笑)怪獣映画で泣いちまったよ。
でもなんで泣いたのか自分でも分からないです。
怖いと思ったのか、キレイと思ったのか・・・分からんけど泣けました。
上映が始まると、いきなりエンジン全開でゴジラスタート。
この調子だとクライマックスまで持つのかな?と思いましたが。
中盤まで見ると上手いこと組み上げたなーって感心。
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・・・このルー大柴は、何?って思いましたけど、
石原さとみさんだと許せるというか。
このキャラ必要?って思いましたけど
石原さとみさんだと許せてしまう(2回書く)
色んな役者さんが出てるので、発見するのも楽しいですね。
「ゆきゆきて神軍」の原一男監督とか
「野火」の塚本晋也監督も登場するし
かと思えばピエール瀧が自衛隊だったり。
みんな違和感なくて馴染んでるのが凄い。

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どっちかと言えば右寄りの映画に仕上がってるだろうと思いましたけど、
見てみると危機管理能力を問いかけている感じも、あんまりしないというか。
ゴジラが出たのに農林水産大臣が海外に出かけてて居ないってのは、
九州で口蹄疫が起きた時、同じように大臣不在だった事へのギャグかな;
おかしな政治家や官僚も登場しますけど、みんな考えを持っていて
誰も問題から逃げようとしない。それぞれに良さを見せてくる特徴があります。
庵野監督は群衆を描かない人として有名で、本人も群集というのは
どっかで逃げてるだろう程度の感覚しか持ち合わせてないと話してました。
でもそれは昔の話で、これだけ人間を中心に描こうとした点は
庵野さんの成長を感じますし、今回は可能な限り主人公を置かないというか
特定の誰かを主人公だと思わせないように作られてるとも感じました。

観客が主人公の視点で見る映画というよりは、
ゴジラの居る日本を体験してもらって、持ち帰って考えてもらうような。

エンターテイメントでありながら考えてもらう機会も与えるという、
私にとっては理想的で、こんな事も出来るんだなーと嬉しくなりました。

エヴァンゲリオンの音楽も登場したり、
ゴジラの過去曲もどんどん流すし
庵野さんらしさと庵野さんの愛してるものが炸裂してます。
政府関係者達の早口言葉が話題になりましたけど、
これに関しては過去にエヴァンゲリオンでも
意欲的に挑戦しているし、もっと古くから言えば
宇宙戦艦ヤマトなどでも危機状態での早口報告は表現されてます。
つまり、今まで
庵野さんの映画やアニメを見た事の無い人たちが
感想として言っているんだろうなーと思うし、
自分の表現を見てくれる人の幅が今回のゴジラで
広がった証拠ですよね。


人って、デビューした時は何処に向かって作ってるのか
分からないものですが、ファンを獲得すると
ああ、この人たちの為に自分は作ってるのか、じゃあ頑張ろうと
思うようになります。でもキャリアを重ねると
どんなに頑張っても見てもらえない層がある事に気ずいて、
表現者は、ゆっくりと保守的になっていくんです。
今まで、どう頑張っても見て貰えなかった人たちに
庵野さんは今回、見てもらえたので。幸せな事だし
長年のファンも「けっ」とか思わず喜ぶべきことだと思います。





こっから具体的になり、完全ネタバレ。






人間には戦いの歴史があって、その到達点が「核」です。
ゴジラって、ある意味では核そのものですけど
核を作ったのは人類です。
ゴジラと同じように人類が生み出した「武器」によって
対処されたゴジラは怒り、自らが持つ核の力で
人類が作った街を焦土にしてしまう。ように見えた。
ああ、それで私は泣いたんだな。
人間が人間を滅ぼしたほうに見えたのか。
やっと理由が分かった。武器で戦って武器で滅んだからだ。
武器が産みだしたゴジラには武器で勝てないと。
あと放射能ビームが紫色なのも気に入ってます。
紫って神様を祀る時に使うことが多い色なので、
ゴジラの放つ「色の選択」としてはベストだと思います。


日本の首相が「自衛隊の活躍が描かれていて~」とか言いましたが
特に活躍してないですよね。効かない攻撃で目立ってた程度・・・
じゃあ何が目立ってたかと言えば、電車とか、無人機とか、
重機とか、化学薬品という。あと、立ち向かう勇気。
つまりヒーローがゴジラと対決するのではなくて、
日本人が核ではなく、戦後に作り上げた発明でゴジラと戦う。
ああ、それで特に主人公が居ないのかと納得しました。

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素晴らしい視点で見ながら唸ってしまったんですけど
あれ・・・え?・・・ってなるのが、停止したゴジラに
液体?を注入する場面で。いや、そんな原始的な・・・
クチから、飲ませるなんて・・・
もうね、見ながら「飲んで飲んで飲んで~」とか
気管支に入ってムセたら終わりだな・・・とか
オエッて、えづいたりして・・・とか。
停止で食道が閉じてて、リバースで液体が
クチからドバドバ出てくるんじゃないかとか、
色んな想像が頭を駆け巡ってしまいまして。
しかもさ、途中で起きるじゃん?
わー!起きたし怒ってるしもうダメだー!・・・また停止。
よし今だ!飲んで飲んで飲んでー!って・・・
もうなんか、これはコントだろと・・・
転んだゴジラにクチから飲ませる・・・?
ゴジラの顔が怖いから余計に笑えるっていうか、
ちょっとシュール過ぎませんか?
まあ撃ちまくっても効かないほど表皮は固いし、
クチから飲ませるしか無いんだけどねえ・・・
まあ、いいんだけどね・・・
ゴジラがクチを閉じて活動停止したら、
どうするつもりだったんだろう・・・

c0027929_23374940.png
なんでいつも日本に来るのかなあ・・・・
アメリカに行ってくれよ(笑)
たまーにハリウッド版で出張してるけどさ。
武器で対処する事しか考えられないアメリカ人を
ボッコボコにして、その後で日本に来てください。
勇気と電車と重機で克ちますので。

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現在はアメリカで公開中なのかな。
でもアメリカのゴジラマニアからは
1954年に公開されたゴジラをリメイクしなくても・・という意見が
チラホラあるようです。1954年という時代は、水爆実験と
第五福竜丸の被爆、それに対する日本政府の及び腰な姿勢によって
不信感と核への恐怖が日本に溢れていたそうです。
原発事故と後手後手の対応で民主党政権を葬った今の日本と似ています。
ゴジラを考えてもらうには絶好の機会だった訳ですが、
アメリカのファンには、日本人が感じている恐怖を背負った日常が
伝わりにくいのかなーと。でも日本ではあれ以来、地震が起きるたびに
大勢の日本在住者が原発の心配をするようになりました。

今回は停止状態のままでゴジラが残ってしまうラストですが
これも「もう一度同じ事が起きたら」という恐怖と向き合いつつ
勇気をもって生きていくしかない日本人の現状と重なります。
それ故に皆、見た後で考えるのかもしれません。

あと、字幕。場所を説明する明朝体に字幕を入れ、
台詞を表示する字幕も入れるので二段構えで表示されるらしく、
見るというよりは読むような映画になってしまい
吹き替え版を望む海外ファンも多いとか。
こればっかりは・・・どうにもならん;
頑張るんだ。もしくは吹き替えを待つしかないですね;




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by frat358 | 2016-10-15 23:50 | 超ネタバレ映画感想

カルテル・ランド(かなりネタバレ)

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「カルテルランド」 ドキュメント映画

ここ数年、アメリカのドラマや映画を見ていると
やたらにメキシコの麻薬カルテルが登場するので
ちょっと気になってました。
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「悪の法則」

メキシコの麻薬カルテルが絡んだ事件に
悪さを企んだ男が巻き込まれてしまう映画です。
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「ブレイキング・バッド」

アメリカで大ヒットしたTVドラマで
これもメキシコの麻薬カルテルが頻繁に登場します。
主人公の奥さんの妹と結婚した男は警官で、
メキシコでの捜査で恐ろしい目に遭って
心にトラウマを抱えてしまいます。

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「ボーダーライン」

CIAのメキシコ麻薬カルテル殲滅作戦に参加した
女性警官の地獄な日々を追いかけた映画。

映画やTVドラマでのメキシコ麻薬カルテルの立ち位置は、
とにかく最悪にヤバい連中で、主人公を大ピンチに
陥れるような立ち回りが凄く多いんです。
でも日本に住んでいる私には、現在のアメリカ人が
メキシコ麻薬カルテルを脅威に感じていることが
リアルには伝わってきません。
いったい、何が起きているんだろう?と・・・

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麻薬戦争の記事を漁っていた私の心に凄く印象に残ったのが、
とある小話でした。アメリカ人は残酷な事件が起きたと聞けば
なんてことだ。一体どこで起きたんだと心配するけど
場所がメキシコだと聞けば「なんだメキシコか」と言って
まるっきり興味を持たないと。例えばこれが、
日本で起きた事件だったり、場所がカナダであれば
心配して報道を追ってくれるそうです。
でもメキシコだけは違う。どんな恐ろしい事件が遭っても
場所がメキシコだったらアメリカ人は驚かない。
特にメキシコとアメリカの国境沿いは、
何が起きても不思議じゃなくて、それどころか最近では
国境を越えてアメリカの領土まで危険地帯になり、
誘拐、強姦、見せしめ殺し、何でもござれが頻発して
もうなんか、日常化してるので驚かなくなってしまったと。
警察ですか?来てくれますよ。特にアメリカ領土なら
通報があれば警察は来ます。何分後に来ると思います?
90分後に来るそうです;つまり警察が来る頃には
何もかも終わっている。広大な土地の物凄い田舎なので
地元警察は対応できていないようです。
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ドキュメント映画「カルテルランド」は
アメリカとメキシコの国境沿いに住むアリゾナ州のアメリカ人と、
国境から1700キロ離れたメキシコの、ミチョアカン州での現実を
BGMなども鳴らし、演出しながらドキュメント撮影しています。
正義が生まれ、正義が死ぬまでを捉えた怖い映画です。

まずメキシコのミチョアカン州で殺人事件が起きます。
ミチョアカン州は当時、麻薬カルテル「テンプル騎士団」の縄張りで
農業者はテンプル騎士団に上納金を要求されて暮らしてます。
ある日、上納金の支払いを拒否した農業者2人が
テンプル騎士団によって殺され、
その農場で働いていた従業員と、
従業員の家族も皆殺しにされました。
犠牲者は15人で、その中には6歳の少女や
生後三ヶ月の赤ん坊も含まれており、殺し方も残酷で、
画像どころか文章で書くことさえも躊躇するような
恐ろしい殺され方をしています。でもメキシコでは
こんな、とんでもない殺人事件が日常化しており、
当事者達以外は、特に興味さえもちません。
テンプル騎士団って最初の頃は
住民を守る事を約束した麻薬カルテルだったんですけど
ミチョアカン州を完全に掌握すると態度を変えて
上納金を要求したり、アボカドやライム、レモンなどの
農産物や、鉄鉱石の利権も仕切るようになっていきました。
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恐らくこの、メキシコという国では・・・
カルテルに反対するような人物は政治家になれません。
カルテルを逮捕するような人物も警察で昇進しないのだろうと。
メキシコ軍の中にもカルテルと繋がってる兵士が多いようです。
麻薬が生み出す金によって汚職された権力が強固に構成され、
誰も手出しが出来ないところまで、きているようです。
そして住民の、政府、警察、軍への不信感は
とてつもなく大きい状態になっています。
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ミチョアカン州で医者をしているミレレスは、
もはやメキシコで自分の命は保証されていないどころか
死に方を選ぶような状況になっていると考えました。
どうせ死ぬなら戦って死のう。どうせ死ぬのなら
愛する人達を守るために死のう。そのように思い、
銃を取ります。ミレレスはリーダーとしての素質があり、
弁舌が達者だったこと、更にはミチョアカン州で
政府への不信感と麻薬組織への報復心の高まりなどもあって
次々と賛同者が集まり、自警団を結成するに至ります。
(実際はミレレスが参加する前から自警団は在ったようですが、
彼が広告塔になる事でイメージや分かりやすさが増し、
住民達から歓迎されるようになっていったようです)

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自警団のルールは、撃たれた場合のみ、撃つこと。
悪党でも逃げていくならば追わないこと。
映画の中では説明されませんが、手配犯を捕まえても
リンチなどはせず、警察に犯人を渡すこと。
これらがルールになった組織でした。
自警団が存在感を示すようになると、
テンプル騎士団による自警団への攻撃が始まります。
夫が殺されるのを見せられたあとに強姦された女性が
実行犯を名指しし、自警団が犯人逮捕に動きます。
そして、捕まえます。親族を殺された人達が
怒りを抱えて集まってくる。それでも彼らは決して
麻薬組織と同じような人間にはならないと誓い、
犯人を殺さずに警察へ突き出します。しかし・・・
警察は犯人を簡単に釈放してしまう。
それは証拠不十分だからなのか、
警察がテンプル騎士団に買収されているからなのか、
真偽は分かりません。でもこういう事が続けば
住民も自警団も政府への不信感が増大していきます。
そしてメキシコ政府も自警団という存在を
法的には認められないので解散を要求してきます。
ミレレス率いる自警団は、自分達の限界に直面します。
ここから先は実際に映画を見てね;
でも恐ろしい話や恐ろしい映像が沢山でてくるので
耐性が無い人は絶対に見ちゃいけないよ・・・
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この映画に登場する人物達は、どれもこれも
圧倒的な正義を感じさせる人間達ではありません。
リーダーだったミレレスも家族がありながら
オンナ癖が極めて悪い人物であり、映像はそれさえも
シッカリ捉えています。あんまり書くと完全ネタバレになるので
頑張って伏せているのですが、テンプル騎士団は現在、
かなり衰退しています。ほぼ存在しないに等しい。
でもそれは「テンプル騎士団が弱った」だけの話で
メキシコから麻薬カルテルが減った訳ではありません。

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こうやって「現場」での現実を映画で体感してみると、
麻薬戦争を終わらせる為の建設的な意見や
メキシコを良い国に変えていく為の具体案が
まるで浮かんでこない事に気ずきます。
凄まじい絶望感を「カルテルランド」を見た人に与えてくる。
最近はアメリカ大統領候補のトランプ氏が
メキシコとアメリカの3000キロにも及ぶ国境に
「壁を作る!」とアピールしていますが・・・
壁を作る?・・・そんなもん、壁に穴を開ければ
自由に入ってきますよね。相手が麻薬カルテルならば
穴を開けるだけじゃ済まないです。
単純に壁を爆破すると思います。彼らは警察よりも
高性能な武器を所持していて、その中には爆薬も在ります。
ひょっとしたらロケットランチャーなども
持っている可能性はあります。たぶん持ってますね;
爆破とか穴を開ける行為なんて、やっていたら見つかって
すぐに捕まるよと思うかもしれませんが、
国境は3000キロも在りますから
全ての壁を監視する事は不可能です。
そりゃあ、ベルリンの壁みたいに都市部で壁を作るなら
それなりに効果もあるでしょう。でも密林みたいな場所とか
見渡す限りに荒野が広がる3000キロの国境線となれば
不法移民も麻薬も、壁を簡単に突破してくるでしょう。
壮大な税金の無駄づかいになること必死です。

じゃあ対抗策として何がベストなのか。
やっぱり、どう考えても、不可能とは思うけど
麻薬を買わない事。これに尽きると思います。
自分は長いこと、麻薬で捕まる人に対して
殺人や強姦に比べれば甘い目で見ていました。
でもこうやって少しでも知る時間を作ってみると、
誰かが麻薬で心地よい気分を味わう為に
生後三ヶ月の赤ん坊が殺されたり、
子供が誘拐されて公開処刑されていて。
正義を貫こうとした人達が家族を失ったり
社会的に抹殺されている。
カルテルが軍隊のように強い武器を持ってるのも
麻薬という売り上げが在るからです。
その悪を支えているのは誰かと言えば
麻薬中毒者なんですよ。どんなに麻薬王が
偉そうな事を言っても、誰も買わなければ
権力なんて持てないんです。
人は弱いから、この問題を今まで
なあなあにしてきたと思いますが、
待ったなしの状況にまで来てしまったと思います。
麻薬を買わないという環境が
アメリカで当たり前になるには
様々な社会問題の解決が必要と思いますが、
中毒者の仲間入りをするという事は、
何処かで誰かがリンチにされている現実に
加担する事になる。どんな事でも光と影がありますが、
メキシコで起きている事は私の道徳心の限度を超えてます。
麻薬はダメだ。心の底から、そう思うようになりました。


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by frat358 | 2016-09-03 16:12 | 超ネタバレ映画感想


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