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スライディング・ヘディングシュート2


3000坪の冒険と、時々音楽すごく映画。たまにサッカー
by frat358
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雨の日は会えない、晴れた日は君を想う




雨の日は会えない、晴れた日は君を想う_c0027929_00033719.jpg


ツタヤ先行です。

大事な事なので2回書きます。ツタヤ先行。

先行されたまま、お近くのゲオなどでは
入荷されない場合もありますので、ご注意ください・・・



雨の日は会えない、晴れた日は君を想う_c0027929_00033378.jpg

病んでる男の必需品、イヤホンとウォークマン;
ただでさえ「言葉」ではなく
演技と映像で内面を描写する、という
分かりにくい事に挑戦してる超難解映画なんですけど、
この映画が更に変わっているのは、主人公本人が
どうしたらいいのか分かっていない、という点です。


それは妻の事故死に始まった事では無くて、
人生の中で、ターニングポイントになってる部分では
常に流されて生きてきたからであり、それによって
とても幸運な、不自由ない人生を得ながらも、
自分がどうしたいのか分からないままで、
流されて生きてきた人だから、だと思われます。

なので、妻を愛していたのか自分で分からないし、
仕事に情熱を持っているのか自分で分からない。
自覚が無いままで生きてきた人。その点が彼を
社会的には変人のように見せてしまっています。
非常に難しい映画なので、少し説明しながら書く事にします。


雨の日は会えない、晴れた日は君を想う_c0027929_00033368.jpg

主人公を拾い上げたのは彼に一目惚れした妻であり、
妻が愛しているからこそ、妻の父親は理解を示して
立派な仕事も主人公に与えてくれた。
ある意味、人生の天使が去ってしまったような状況ですが
主人公は妻を愛していたのかさえ、自覚できません。
途方もなく幸福で裕福なのに、途方もなく空虚な人。

妻が死んで10分後に自動販売機でチョコを買おうとしたら
販売機の故障でチョコが出てこなかった。
苦情を書こうと手紙を書き始めたら、いつの間にか
妻との思い出や自分の人生まで文章に溢れていきます。
主人公は自覚していませんが、手紙を書き始めたことで
自分の人生に、初めて対峙しています。
そして、その手紙を読んだ業者の苦情担当者は、
「この人には話し相手が居ない」という事に気ずく。

苦情担当の女性は、気になって主人公に電話をしてしまい、
「話し相手は居るのですか?」と問いかける。
これで主人公は、ようやく、自分の内面を話せる人が
自分の人生に存在しなかった事を自覚します。
そして、初めて自分の気持ちを察してくれた人に
夢中になってしまいます。更には破壊衝動を自覚し、
自傷願望を自覚し、目覚めていく自分に興奮していきますが
かつての流されまくりの彼に関わってた人達はドン引きです。
異常なほどハイテンションな主人公の姿が続きますけど、
妻を失って気が狂ってしまったのではなくて、
自覚していく喜びを表現しているんだと感じました。

果たして、彼は最終的には何を自覚するのでしょうか。
気になった方は見てください(急に突き放す)


映画のテーマとして「壊す」という行為が出てきますけど
これって正確には「既に壊れている」です。
彼の破壊衝動は、妻を亡くした事で完全に心が壊れたので
自分の心に見合うように周囲を壊してるように見えました。
内面探しをしているうちに、あらゆる物の内面も
見てみたくなったという心理がスタートかもしれませんが、
最終的には壊す事に執着しているので、そう感じました。
怪我をする事も大好きになってしまいます。
誰かに心配して欲しい訳でも構ってほしい訳でもなくて、
傷を負うほど自分の心の状態に近ずくので、嬉しい。
それゆえに傷つきたがるのかな、と思いました。




雨の日は会えない、晴れた日は君を想う_c0027929_00033380.jpg

誰かが言ってました。「愛とは、気ずくことである」
この映画の主人公は失ってから気ずいてしまいます。
なので、途方も無く残酷で悲しい映画だとも思う。
彼は、ひょっとしたら、また恋をするかもしれませんが、
気ずいた時には逝ってしまった妻との心の対話は
死ぬまで続いていくんじゃないかなと、思うのです。
主人公の無自覚ぶりは究極と称して良いほどですが;
ある程度は、誰もがそうなのかもしれません。



雨の日は会えない、晴れた日は君を想う_c0027929_00033719.jpg

このポスターも、見終わってから眺めてみると
大事な人を追いかけていたのに、追いつかなかった男のように見えます。
後悔を背負いながら生きていく。それも大人の特権かもしれません。












===============↓ネタバレ↓==============






ちょっといま・・・部分的に見直したので追記で書きたいんですけど。
何度見直しても確認できないのが、青い紙が、何処から出てきたのかっていう。
結局何度見ても分からなくて、ネットでネタバレの感想ブログを読んでるうちに
やっと見つけました。サンバイザーの裏に挟んであったんだよ、と。

自分で確認してないので、まだ真偽不明ですけど、そういう事なら納得できます。
でもちょっと待って・・・事故ったクルマを修理して乗ってたの?
そんな描写あったっけ?妻が死んだ座席に座って運転してたのか・・・
ちょっと強引な気がしますけど・・・でもサンバイザーに挟んでおく理由が
とても大きいので、仕方ないかな・・・

うわの空で生きているアナタは
雨が降ってる時にはクルマのサンバイザーを使わないのと同じように
私が青い紙を挟んでおいた事も気ずかないだろうけど、
サンバイザーを使うような晴れた日には、私の事を想ってほしい。
主人公が、どういう人間なのか気ずきまくってる妻が
ささやかに願った想いですよね。これを描写したいので
事故ったクルマに乗り続けるという強引な設定を入れてたんですね;
金持ちだから他にもクルマを持ってたのかなあ・・・
だとしても、少し大雑把ですよね。大事なポイントなのに。

んー・・・ちょっと納得いかないけど。でもまあ、許せる範囲かな。
これは絶対に必要です。。だって主人公は青い紙を見た事で、
妻がどれだけ、自分の事に気ずいてくれてたのかを知るのですから。
ああ、俺は自分の事が全く自覚できてなかったのに
隣に居てくれた人は、こんなにも俺の事を見ていた、気ずいてた。
この人、大好きだ。ああ、俺の妻じゃん!愛してる!!でも死んだ!!
という物凄い感情が、あの場面に入っているので。
絶対にサンバイザーから青い紙が出てこなきゃいけなかったんですね。
だったら事故死にしなければ良いと思うのだが。。。
それにサンバイザーから紙が出てくるなら、1カットでいいから
紙が落ちる場面を入れておくべきですよね。
ラストの発破工事もアングルが引き過ぎてる影響で
何が起きたのか分かりにくいし(二度目で、やっと気ずいた)

少し雑な面もありましたけど、それでも個人的には
大好きな映画と言えます。誰かが書いてましたけど
説明を省いてる事で、安易なお涙頂戴映画にしていないと。
誰にでも分かるような描写は避けて、暖かく絶望が包んでくる映画にしている。
この点が凄く、私も好きです。最後の台詞は字幕だと「楽しんで」になってましたが
F○CK YOU SELFというのは「お前の好きにしやがれ」という日本語のほうが近いと思う。


雨の日は会えない、晴れた日は君を想う_c0027929_00033326.jpg


死んだ妻が何度も何度も出てきますけど、
「まるで幽霊のように」という表現を見かけましたが
自分の感性だと違います。あれは恐らく幽霊とかではなくて
主人公の「心の中に住んでいる妻」です。
そして自分なりの追悼を見つけた時に、心の中に居る妻が
抱きしめてくれたんじゃないかなーと。
同じくらい大好きな人を見つけた時に心から居なくなるというか、
対話できなくなるんじゃないかな・・・とも、思います。
苦情担当の女性と接近しても妻が消えないという事は、
妻への愛のほうが圧倒的に勝ってるんですよ。
主人公は青い紙を見つけるまで自覚してないけどね;



「よく分からない」という感想も多いようですが・・・
個人的には人生の10本に入るくらいの映画でした。
他者に薦めるような映画では無いですけどね。
大事な人を失って心に傷を負って、
自分の心と同じように、自分の身体や自分の持ち物も
ぶっ壊してしまいたい、消してしまいたい、と願った事がある人なら
色々と共鳴できて、特別な映画になるかも?しれません。










by frat358 | 2017-10-06 00:07 | DVDエラー大嫌い | Comments(0)
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