スライディング・ヘディングシュート2


3000坪の冒険と、時々音楽すごく映画。たまにサッカー
by frat358
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タイヤ交換が呼びよせた過去との対峙




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「ノアの悲劇」

クルマのタイヤ交換に40分かかると言われて、
何気なく本屋に向かい、そこにポツンと置いてあった。
明らかに信憑性が低そうなゴシップ臭がする表紙で、
立ち読み可能だったからこそ手に取ったのですが。
少し読んでみると、かなり詳細で内容の濃い本でした。
長いこと雑誌に掲載された記事をまとめたモノで、
ネットでチラホラ見かけるノア批判の震源地と思われ。
真偽不明で断片的だったプロレス団体「ノア」の闇を
完全版として扱った本なのが理解できました。
そういえば私は三沢の死後、ノアが破産に至るまでを
しっかりと把握できてないまま時間が経過している。
全日本プロレスと、そこから独立したノアが
最も好きな団体だったのに、転落の過程は詳しく知らない。
でもこういった本で、それを知るのがよいのか、
ちょっと迷いました。30分くらい迷った。
もうすぐタイヤ交換終わるなーって時間まで悩んだ。


人は誰にでも欠点があるし、欠点も含めて「その人」なので
要は欠点も認識した上で、長く付き合っていけるかだと思うんです。
ところが個人による暴露形式で他者の人間性が披露される時って
欠点だけが切り取られて大々的に報じられやすい。
暴露する人間にとって、都合のいい「誰かの話」になりやすい。
なのでこういった本を読む時は、注意深く読む必要があると思う。

でも執筆者の名誉の為に書かせてもらうと、
この本を執筆した人は10年ちかくノアを取材された方で、
自分で歩き、自分の書いた情報に裏付けまで掲載しており
決して思い込みや噂を中心にして記事にしてる訳じゃないぞと、
可能なだけ詳細に、事件や人物の内面を書いてました。
書いてました、というよりは「書いちゃってました」というか;
ここまでキッチリしてると、書かれた人は逃げ場が無くなるので
コレはコレで、おっかない本だなとか思っちゃうけど;
値段は1200円(税抜き)・・・本は高くなったなーと思いつつ、
10年の取材ならば、これくらいの価値はあると思って購入。
一気に読んで、日付けが変わる頃には読み終えてしまいました。


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ノアの話を書く前に、どうしてノアという団体が誕生したのかを
少し具体的に書きますと、まず全日本プロレスという団体があり、
社長はジャイアント馬場さんでした。馬場さんが高齢になって、
本来なら経営面での後継者はエースだったジャンボ鶴田さんですが、
鶴田さんは大病を患って他界します。
馬場さんと鶴田さんを失った全日本は、三沢光晴が継ぎました。
三沢は馬場さんの秘書だった仲田龍さんと協力して
レーザービームを使った演出や、今までになかった企画を出して
独自路線を全日本プロレスで推し進めようとしました。が・・・
現場では、馬場さんの奥さんである元子夫人が、
三沢さんと仲田さんの企画を次々と却下、揉み消していました。

馬場さんの生前、元子さんはグッズ関連とか
選手の肖像権を管理する立場にあり、テレビ出演に関しても
元子さんの許可が必要で、大抵の場合、出演OKになるのは
夫で社長のジャイアント馬場さんだけだったそうです。
他選手にテレビ局から出演依頼があっても元子さんが断ってしまう。

かつてグレート・カブキというプロレスラーが居たんですけど、
海外で、彼を主役にしたアニメを作りたいという企画があったそうです。
しかしこれも、元子さんは大反対して潰してしまいました。
理由は「脇役のレスラーが目立ってはいけない」というもの。
更に書くと、元子さんはグッズ関連のロイヤリティーなどを
全て自分のポケットに入れてしまうので、選手は試合でのギャラしか
与えられていませんでした。これは全日本の「特徴」で、
ライバルの新日本プロレスではグッズ収益も選手に渡されていた。
そして、短期的ではあったもののプロレスが大人気だった時代になって
選手の引き抜きが激しくなっていくと、引き抜きを防止する為に
新日本プロレスでトップだった選手達の年収が3000万円を超えます。
その話を横で聞いていた全日本プロレスの選手達は
元子さんへの不満を募らせていく不健康な状態になりました。
馬場さんは生前も、元子さんに任せていた事に関しては
まったくクチを挟まなかったそうです。

こういった不満が積もりに積もっていき、馬場さんの他界で
三沢さんが社長に就任すると、元子さんへの不満は臨界に達していき、
遂には社長の三沢さんが解雇されるという事態に発展します。
三沢さんは仲田さんと2人でノアを去り、飲み屋でも経営しながら
いつか試合の興行をしたいねと、小さな夢を抱えながら
出て行くはず・・・だった。でも全日本プロレスの選手、スタッフ、
ほぼ全てが、三沢さんに付いていきたいと後を追いました。
三沢はその光景を見て、自分が新団体を作ることで
仲間達の理想を実現する為に生きようと腹を括ります。
そして誕生したのが「ノア」というプロレス団体。
これは、元子さんにしてみれば三沢が起こした反乱に見えたと思います。
元を辿れば元子さんの現場介入と不透明な金銭な流れと
選手への強い締め付けが起こした結果ですけど
元子さんは馬場さんに大事にされ過ぎた面もあったと思います。
結果として、かなり世間知らずな人だったと私は思う。
こういった、少し風変わりというか、変わった人が
プロレス業界にはゴロゴロ居るので、
元子さんだけが特殊という訳でもないのですが、
スケベでおやじギャグばっかり言いつつも、ここぞという時は
必ず筋を通す生き方をしてきた三沢光晴にすれば、
元子さんは我慢できない存在だったのかもしれません。


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今では「ノア」と打って画像検索しても、
クルマの「ノア」が検索結果として並びます。
一時は新日本プロレスを凌ぐ人気を誇り、
プロレス界の盟主と評されたノアが。
とことん落ちてしまった2017年。
その経緯を振り返っていくと・・・
それこそ執筆した方への営業妨害になるので;
可能なだけ簡潔に書かせてもらうと


三沢と一緒に独立を共にし、一時は英雄視もされていた
仲田龍さん。彼が実際には人見知りで攻撃的で、
嫌いな人を社会的に抹殺する為に病的なほど動いていたり、
昔気質すぎてマスコミ受けが非常に悪かった事が、
ノアというプロレス団体を広報面で閉じた状態にしたこと。
仲田さんには会社の金を私的に流用した疑惑もゴロゴロあります。

リーマンショックの影響で大スポンサーだった日テレに切られ、
数億円にのぼるアテが無くなった事で、リストラが起きたこと。

リーマンショックで金銭的に困窮した状況になっていたら
突如として大金持ちの女性スポンサーが現れ、
すがる思いで仲良くしていったら、実はその女性が詐欺師で、
色んな場所で合計、数十億円を騙し取っているような
極悪犯罪者だったこと。なおかつ、その女の夫が元ヤクザだったこと。
これによってノアは暴力団と関係した団体という烙印を押されたこと。

ノアで中堅レスラーだった泉田(いずみだ)さんが
この女詐欺師から9000万円の詐欺に遭い、
同じ詐欺師から三沢さんの奥さんも、三沢さんの他界後に
5000万円の詐欺に遭ったこと。


以上の点かなと思います。他にも色んな話があるんですけど
もっと知りたい方は本を買ってください;
まあ、これくらいの文章なら報道された範囲なので・・・



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詐欺の被害に遭った泉田さんは
告発本、または暴露本ともいえる本を執筆した事で
当時はノアファンに裏切り者扱いもされました。
日テレがスポンサーを離れた後に起きたリストラで
泉田さんはリストラ対象になった選手です。
リストラされた後に本を出したので余計に叩かれた。

詐欺に遭った泉田さんは詳細を知る人物であり、
彼が告発しなかったら様々な事が分からずじまいだった。
でも本当は・・・本の執筆なんて、したくなかったんだろうなと。
というのは、事件が起きてから2年も経過してから
本を出してるんですよ。リストラされたとはいえ、
本来なら世話になったノアの為に黙っていたかったんだろうと。
亡くなった三沢さんへの恩義を2年という沈黙の時間に私は感じます。
でもそれ以上に三沢さんの死後は隠蔽に隠蔽を重ねるノアの体質と
三沢さんが亡くなった直後にも関わらず、偲ぶことよりも
自分の権力基盤を維持する為に立ち回っていた仲田さんへの不信感が
泉田さんの中で大きかったんだと思います。
リストラで仕事を失い、詐欺で9000万円を奪われて借金地獄に陥り、
生活苦で書いた面もあると思いますが、その辺は本に詳しく書いてあります。

そして恐ろしい事に、この詐欺事件に深く関わった人達は
事件から数年の間で根こそぎ他界しました。
渦中の中心に居た仲田龍さんは51歳で怪死。
詐欺師を団体に紹介してしまった永源遥さんは70歳で急死。
そして泉田純さんも51歳で急死・・・
詐欺事件とは直接的に関わっていないスタッフに関しても
団体バスを運転担当していた元レスラーが不審死、
役員が理由不明で解雇、レフェリーをしていた西永さんが謎の失踪。
叩みかけるように謎や隠蔽、不祥事が続きました。


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ちょっと暗くなり過ぎているので明るい話題も少し書くと、
ノアと言えば、小橋建太さんも有名なレスラーでした。
怪我の蓄積や、癌を患って引退しましたが、現役当時は
三沢さんに代わって団体エースの座を引き継ぎ、数年に渡って
チャンピオンに君臨。練習量も団体ナンバーワンで
ルックスも良いので女性ファンが沢山居た。当時、練習所には
ひっきりなしに「小橋さん居ますかぁ~?」と甘い声の電話が
鳴りまくっていたそうですが、なんと小橋は・・・
どんなに沢山の女子が迫ってきても、全く性的な関係が無かったそうです。
女性問題の黒い噂なんて1つも無い。絵に描いたような誠実男。
迫ってくる女性を雑に扱うこともなく、距離感を保って大切に応対し、
なおかつ肉体的な関係は全く無い。レスラーの鑑すぎて怖いくらい;
ホモだった訳でもなく、現在は奥さんと静かに暮らしています。

かつてジャンボ鶴田さんや三沢さんがエースの座を後輩に譲ったのに
小橋さんは後輩にエースの座を譲らないまま引退したので問題視もされたけど、
あまりにも完璧過ぎる小橋さんには、自分を後継できると思う若手は
見当たらなかったのかもしれません。癌治療と怪我の治療で、
後継者の件まで頭が回らなかった可能性もあるかなと思います。


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最後に泉田さんの話で締めます。
泉田さんは背も低く、ルックスにも恵まれず、
自己アピールも下手で、繊細で、細かいことをいつまでも
根に持ってしまう面があり、大雑把な人が多い体育会系の世界では
かなり浮いた存在だったと思います。
仲間が出世していく中、いつまで経っても中堅レスラーだった。
人気商売の世界に居る以上、違う団体であれば
解雇されていてもおかしくないような前座レスラーでした。
でも三沢さんは、先行きも暗い泉田さんを見捨てなかった。
「お前なんか要らない」とは言わずに受け入れて、
年収700万~800万も与えていた。この数字は
泉田さんのポジションを考えたら、とんでもなく高額です。

泉田さんが自分の将来について悩んでいた頃、
ジャンボ鶴田さんが相談に乗って、こう言ったそうです。

「泉田くん、これだけは言わせて。
プロレスには上も下も無いんだよ。
人生は、みんな違う。プロレスも同じだよ」


泉田さんのリストラを告げたのは三沢さんでした。
長い沈黙のあと、三沢さんは言ったそうです。
「来年から50試合に減る」・・・告げられた言葉から
泉田さんは2年後に解雇されると悟りました。
「お世話になりました」と泉田さんが頭を下げると
三沢さんは突然、大声を出したそうです。
「まだ終わった訳じゃないんだ!これから始まるかもしれない。
ノアの名前つかっていいからな。
お前の為に出来る事を、これからもするからな」

泉田さんが詐欺に遭い、三沢さんが試合で亡くなるのは
それから数ヵ月後の事でした。
ほぼ同時進行で、2人の悲劇は起きました。



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明るく楽しく、激しいプロレスを目指した全日本プロレスは変容し、
頑張った人が報われる会社を目指したノアは世界不況と詐欺師に翻弄され、
消えていきましたが・・・この人達を愛して良かったと思える回顧が在って、
泉田さんが伝えてくれた記録に、私個人は、とても救われました。






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by frat358 | 2017-07-18 19:31 | プロレスラー列伝 | Comments(2)
Commented by えり at 2017-07-21 09:43 x
プロレスにそれほど詳しくはないが、ふらちゃんの愛だけは伝わったよ。馬場さんの奥さんはマジでムカつく女だったのねぇ。いまも昔もいるんだよね、こういう女。旦那の手柄をまるっと自分のものと勘違いするという。黙ってる旦那にも責任あると思うわ。

全然話違うけど、リンキン・パークのボーカルの人、自殺しちゃったの?!
Commented by frat358 at 2017-07-21 14:06
元子さんの件だと、ちょっと真偽不明なので「置いといた」んだけど、買い物が凄かったらしいのよ。持ちきれないのでレスラーを連れて買い物してたらしくて、大抵は外人レスラーが運んでたらしい。
不満を言わずに付き合ってくれる外人レスラーが居ると可愛がったりとか、そういうのもあったかもな・・・
コイツ、なんで毎回来日できるの?って思う外人レスラーも居たし。元子さんもレスラーからの視線は感じてたハズなのに、空気が読めないというか。
ミセス馬場の放置は馬場さん唯一の汚点だと思う。
最近の元子さんはさすがに奥へ引っ込んだけどね。

生きてるロックシンガーの中ではチェスターが1番だと思ってて、俺が計算間違ってなければ同学年なんだよ。
自分とタメの人ととしても1番だったなーと思う。
チェスターはオーディションでリンキンに入ったけど
あまりにも歌が上手すぎて、他の候補者が諦めて
ゾロゾロ帰っちゃったという伝説もあるそうで。
因果関係は謎だけど、チェスターが死を決めた日は
クリス・コーネルの誕生日だった。2人は仲良しで、
特にチェスターが敬愛してたみたいだね。
誰かが哀悼コメントで書いてたんだけど、
アーティストは暗闇を美しく表現できる人が多くて、
そういう人の感性は暗闇に敏感なのだと。
6人の子供と奥さんを大切に思ってなかった訳ないし、
彼も吸い込まれてしまったのかな、と思いながら
未だに冗談なんじゃないかと、受け止められないよ。
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