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スライディング・ヘディングシュート2


3000坪の冒険と、時々音楽すごく映画。たまにサッカー
by frat358
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愛と憎しみの果て

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・酷い目に遭ったほうがいいヤツは大勢いるけど、
それでも殺していいヤツなんて1人も居ない。

・人類は女性のおかげで維持できている。
女性は、どんなにバカにされても気にする必要は無い。

・誰からの罵倒も気にするな。戦い続けろ。

・ファンに対して写真も撮らないとか、
サインもしないとか、ほっといてくれと
思うようになったら、その立場に居る資格は無い。

・(音楽で成功を夢見る若者達へ)
やめとけ。大学に行け。

ツイッターでメタリカの過去発言や、
メガデスのリーダー、デイブ・ムステインの語録を
日本語でまとめている人達が居て、それを読んでいたのですが。
大成功したメタリカの発言よりも、常にメタリカと比較され、
時には蔑まれてきたメガデスのデイブ・ムステインのほうが
心に残る言葉が多くてビックリしました。
私はメガデスも好きでしたけどメタリカのほうを
ずっと聞いてきた人間です。でも今になって
人として魅力を感じたのは、そのメタリカを解雇された
デイブ・ムステインのほうでした。
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メタリカと、メガデス。似たようなバンド名で
お互いにジャンルもメタルなんですけど
音楽的には、かなり違います。
メタリカが派手で分かりやすいプロレスだとしたら
メガデスは玄人好みの総合格闘技って感じで。
少なくともメタリカ大好きでメガデス大嫌いとか、
そういう友人は私の周囲に居ませんでした。
どちらかと言えばメタリカが好きって人が多い。

とにかく、この2バンドは仲が悪くてね。
ファンは両方好きなんだけど気を遣ってるというか。
特にメガデスのほうはメタリカを嫌悪してるので
メガデスのライブでメタリカのTシャツを着るとか、
禁止令とかは在りませんけど、気を遣って
そういう事をしないファンも多かったと思います。

私がメガデスのカバーを演奏していた頃、
just like pide piperという歌詞を、私が
「パイパイパ~♪」と歌うので、ギターの友人が
「パイドパイパーだ!パイパイパーじゃない!」
と叱ってくれたんですが、充分に反省した上で
私は「パイパイパ~♪」と歌い続けました。
そのうち怒られなくなりました。ごめんなさい。
今日はメガデスというバンドの、
デイブ・ムステインについて
軽くまとめようと思います。以後は彼のことを
「大佐」と書きます。(彼のニックネームです)

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大佐はメタリカというバンドを
解雇されたミュージシャンです。まだメタリカが
世界的に全く無名だった頃。初期メンバーの1人でした。
初期のメタリカは、リーダーが多すぎました。
リーダーになりたい人が多かったのではなく、
リーダーになれる器の人間が3人も居たんです。
ラーズ、クリフ、大佐の3人。
ボーカルのジェイムズは
初期の頃だと、まだ個性が開花していません。
ベーシストにクリフ・バートンが加入して
拠点をサンフランシスコに移した頃から大佐の立場は
だんだん悪くなっていきます。クリフは作曲能力も高く、
ステージでの存在感も抜群で、リーダーの器でした。
いつしかメタリカは強力な個性が、
ぶつかり合う状態になっていたようです。
メンバーの中にはそれを問題だと思う人も居ましたが、
大佐は強力な個性が集まっていることで
最強のバンドになれると信じていたようです。

何が原因で大佐が解雇になったのか。
今になっても具体的には語られてませんけど
どんな解雇だったのかは有名です。
大佐がバスの中で目を覚ますと、
ベースのクリフとボーカルのジェイムズが
目覚めた大佐を座ったまま見つめていたそうです。
そして、その状態で「お前はクビだ」と宣告した。
大佐は「そうかよ、じゃあな」とバスを出て行きます。
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復讐に燃える大佐はメガデスというバンドを結成。
メタリカを超えるバンドを作る。それが新しい夢になった。
バンドを解雇されるとか、ちがうバンドに移籍するとか、
そういう事は、物凄く多い世界です。
でも大佐は強く、強く、メタリカを恨みました。
口喧嘩も激しく殴り合いも散々していた当時の大佐は
自分だけが「それでいい」と思っていて、
どれだけメタリカを愛しているのか
他のメンバーに伝えた事はなかったのかもしれません。

長い人生の中で、誰にでもツライ事は起きますけど
自分をクビにした人達が、自分には不可能なほど
とんでもない成功を収めた場合、解雇された人間は
それをどう思うでしょうか。自分の思いだけじゃなくて、
周りから「クビになった男」というレッテルを貼られ、
それのみで自分を評価する人が絶えない状態が、
10年も20年も続く中で、同じ業界を生きていく。
常に比較される事で、若い頃に失った心の空洞が
どんどん大きくなっていく。
大佐ことデイブ・ムステインの人生は
そういう人生だったと思います。
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メタリカへの思いは憎しみであると同時に
愛でもあったと思います。愛してるからこそ憎い。
なかでも自分にとって衝撃だったのは「リスク」という
メガデスのアルバムでした。このアルバムの一曲目は
睡眠障害のことを歌っているのですが、
実は同じような時期にメタリカも睡眠障害を
テーマにした曲を作っているんです。
こんな事したらイヤでも比較されてしまう訳ですが、
わざわざ同じテーマの曲をぶつけてきた。
売り上げで見れば圧倒的なメタリカ勝利に終わり、
メガデスの「リスク」というアルバムは
その名のとおり様々な挑戦を仕掛け、
ファンには好かれず失敗作の烙印を押されました。
そういえば・・・それ以前にも
メタリカのアルバムで使われている台詞を
自分の曲にも入れていたり、もうなんか、自分から
わざわざ比較されにいってるような事をしていました。
そして自分を解雇した主要人物のクリフは
「Master of Puppets」という大傑作を作ったあと、
交通事故で死んでいます。大佐は復讐しようにも、
もう相手が居ないんです。メタリカはどんどん売れて
遥か彼方を行ってしまう中で、大佐のメガデスも
アルバムの総売上で4800万枚を超えていき、
メタル四天王の1つに挙げられるバンドに成長します。
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ボーカルのジェイムズは
今では完全にメタリカの「顔」になるほど成長し、
大佐が解雇された事も含めて、こう評しました。
「あいつは間違いなく出て行くべきだった。
メガデスの曲を聞けば聞くほど、そう思う」と。
ラーズは自分の子供の、一番お気に入りのバンドが
メガデスなんだよと話していた事があります。

音楽界でバンドを抜けてからも成功した人は
数えるほどしか居ません。メタルの世界だと
オジー・オズボーンとメガデスくらいかもしれません。
大佐はメタリカへの復讐をすればするほど
皮肉にも自分にしかない才能を成長させていき、
メタリカを離れて良かったなと元メンバーに
言われるようになったのでした。
メタリカに後悔させたかったのかもしれない。
敗北感を与えたかったのかもしれない。
長い長い復讐の旅の果て。待っていたのは
褒められるという結末でした。

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メタリカのロック殿堂入りを大佐が祝福したり
「ビッグ4」という合同ライブも成功させて
今ではお互いが認め合う存在となりました。
最近ジェイムズが、懐かしい元メンバーが
集うイベントで、よく使うのが
「メタリカ・ファミリー」という言葉です。
この言葉は大佐の人生を祝福したと思います。
メガデスとして歩んだ道も充分に誇れる。
メタリカに存在していた自分も未だに誇れる。
振り返った時に、どちらも自慢できる。
じゃあ、そんな人をなんて呼ぶ?
元メタリカ?違う。メタリカの家族だと。

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自分が持っていない何かを羨ましく思うよりも
自分に在るものを大切にしようと思うようになった。

              デイブ・ムステイン






by frat358 | 2016-09-25 04:25 |
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