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スライディング・ヘディングシュート2


3000坪の冒険と、時々音楽すごく映画。たまにサッカー
by frat358
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ルーム237(超ネタバレ)

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「ルーム237」イギリス映画

めちゃくちゃ面白かった。
でもコレは「シャイニング」という映画から
色々と発見をして楽しんでいこうという作品なので
「シャイニング」を見てない人は全然わからない。
ファンがそれぞれに映画の中から発見したことや
感じたことを自由に語っているだけの作品です。

そして、いかに映画ファンというのが
自分勝手な解釈をして、好き勝手なことを
思ってるかを追った作品でもある;
芸術は、他者に見せたり聞かせたら
もう自分だけの作品では無い訳で、
それは素晴らしい事でもあり、
恐ろしい事でもあるんですけどね。
キューブリック監督はシャイニングを撮る前に
撮影現場の取材を三ヶ月もスタッフにさせていて、
土地の歴史から撮影する建物の由来から
あらゆるものを吸収した上で撮影していたそうです。
ルーム237(超ネタバレ)_c0027929_2124222.jpg

確かに映画ファンが次々と色んな発見を
楽しみたくなるのも理解できるような演出が
「シャイニング」に隠されているのも事実だと思いました。
それは感じ方によるねーって思える発見も多いのですが、
後ろに置いてあった椅子が、次のカットでは消えてたり、
影が薄い役の人が着てる洋服のデザインが微妙に、でも
間違いなく一瞬で変わっていたりとか。
一般的には撮影中にスタッフが起こしたミスだなって
考えるのが普通だし、本当にそういう事が多いんですけど
この映画は、そういう訳じゃなさそうなんですよ。
ルーム237(超ネタバレ)_c0027929_2056232.jpg

個人的に衝撃だったのが、
子供がカーペットに座って遊んでいる場面。
中央に抜け道があるような
不思議なカーペットなんですけど、
この場面から映像が切り替わると
カーペットから抜け道のデザインが消えて
六角形になってるんです・・・
つまり、違うカーペットを用意したか方角を変えたか、
意図的に撮影したと考えるのが普通ですよね。
てゆう事は洋服のデザインが変わるのも
椅子が消えてしまうのも、何か意味があるのかなって
見てる人は思う訳です。そして最も衝撃だったのは、
マスターマインドという映画ファンが気ずいた
「シャイニングは逆再生で見るべきだ」という意見。
せっかくなので通常再生と逆再生の映像を、
1つの画面に同時で再生して見てみると・・・・!!
ええーーーーー!?ってくらい私は驚いた(笑)
まあ都合が良い部分を繋げてるとは思いますが。
狙って作ったなら天才を通り越して超人だと思う。
ルーム237(超ネタバレ)_c0027929_20554364.jpg

キューブリックは人類が月に行ったアポロ計画で、
宇宙飛行士が月面を歩いている映像を製作したという
疑惑があります。シャイニングでは子役の洋服に
APOLLO USAと書かれており、
子供が垂直に立ち上がる場面は、まるで宇宙ロケットが
発射されていくようにも見えるので、
キューブリックが月面着陸について
何らかのメッセージを入れてるのでは?とかね。
いずれ映像検証の技術が高まって、
自分が死んだ頃に解明されるのは間違いないから
映画の中にメッセージを入れておこうと考えたのでは?
なんて事も想像したりして、ファンは楽しんでいます。
妄想や思い込みは止まらず、なんじゃそれってのから
おお、確かに・・・って言いたくなるようなものまで
ファンの観察が収録されています。
ルーム237(超ネタバレ)_c0027929_213515.jpg

で、私個人の見解を書かせてもらうと、
シャイニングは人間の業を描こうとした作品だと
これまた極東の地で、勝手に思っています。
主人公が狂っていく原因の豪華ホテルは
かつてインディアンの埋葬地だった事が
作品の中で語られていますが、
怨念とかの被害者側の呪いや念ではなく、
大量に先住民を殺した加害者側の
「狂気の念」が土地に残っていて、
現代に住む人達も影響を受けてしまう。
同じようなテーマの映画とは違っている点として、
人間の無関心や忘れてしまう習性も
イメージ映像で表現しようとしてると思います。
現代に住む人々さえも狂気が蝕んでいるのに、
原因や歴史には他人事のように無関心な人類。
イメージ映像が沢山現れる映画ですけど、
強烈な「赤」の映像と同じくらいに
暴れまわる赤を押さえ込むような
周囲の「壁」が印象的に見えるんです。
ルーム237(超ネタバレ)_c0027929_2056232.jpg

このカーペットも、中央の赤よりも
周囲のライン?壁?のほうが私は印象に残ります。
そして不思議な経験をする場面では、
完全に囲まれた図形にカーペットは変化する。
人間は自分達のおぞましさに気ずきながらも
決して認めず、心に壁を作っていて、
道を踏み外した人は徹底的に批判する事で
自分自身を保っている。
それが不幸にも、人類の長い歴史の中で
同じ過ちを繰り返す原因にもなっている。
そんな事をあなたは伝えたいのかい?と
私は見ていて思った。
クライマックスも、殺意に囚われて迷路に迷う父親と
自分の足跡を辿り、来た道を戻ることで
迷路から逃げ出す息子という対照的な結末。
人の残酷な歴史を父親の狂気で表現しつつ、
狂気から抜け出す方法も息子の脱出方法で
示しているように感じました。
ヒトラーを連想させるように作られていると
感想を話してる人も多いんですけど、それは・・・
私も、そう思います。ラストの写真で同意しました。
髪の毛の、おでこ部分の毛が
画面が切り替わる一瞬だけ、
鼻の下のチョビヒゲに見えるように
計算して表現してると思います。


シャイニングはスティーブンキングの原作ですが、
完全に原作とは違う方向性を見ているとも思います。
つまり、作った監督も勝手に解釈しているし
見ている人もガンガン思い込みをぶつけている;
キューブリックは長いこと人間の暴力性に関しては
作品の中で取り組んでいた監督だと思うし、
その中でもシャイニングは特に抽象的で、
見ている人の為に膨らみが存在しているような、
不思議な映画なんだなーと思ったのでした。
これを見た後に「シャイニング」を見ると面白いです。
日本人は好きな映画を何度も見る楽しさは
未体験の人が多いので、シャイニングを機会にして
何度も見る楽しさや、何度も見て発見する楽しさに
いろんな人が目覚めるといいなーなんて事を
「ロッキー」を何度も見ている私は思うのでした。







映画という仕事は問いかけを与える仕事で、
観客に答えを与える仕事ではない。
答えを与えるのは宗教だ。
              トミー・リー・ジョーンズ






by frat358 | 2015-03-17 21:06 | 超ネタバレ映画感想
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