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ボクシングの世界チャンピオン、 ミッキー・ウォードの自伝的な実話映画です。 良さを伝えにくい作品なせいか、 日本版の宣伝は安っぽい感動秘話みたいに 作られていて、映画を見終わった後に予告を見ると 「なんじゃこりゃ」って絶句すること間違いなし。 クリスチャン・ベイルが演じている兄貴の役は ブラッドピットが最初は候補だったそうですが、 痩せたり太ったり歯を動かしたりと 30代の俳優の中で際立った役者バカぶりを 発揮して生きているクリスチャン・ベイルだからこそ 映画がヒットしたような気さえ、しました。 ローウェルという街に生まれ育ち、 何もかも仕切りたがる母親と お喋りでトラブルメイカーの兄に挟まれた弟は 自分を前に出す機会に恵まれなかった為か 内気な性格で、友達も少ない。 両親がボクシングのマネージャー。 兄貴も元ボクサーで試合の際はセコンドに付く。 自分の人生そのものと 家族を切り離せない環境なので なかなか精神的にも自立できません。 最終的には世界チャンピオンになる弟が 映画の中心になって話が進行するんですけど、 見てる人の印象に残るのは大家族のゴチャゴチャ感と 厄介なことばかり起こす麻薬中毒者の兄貴の姿。 兄もかつてはボクサーとして、 有名な選手と対戦してダウンを奪ったキャリアがあり、 しきりにそれを周りに話すし、 周囲の人々も「ローウェルの誇り」として敬う。 でも兄はボクシングの中でしか生きられないような 不器用な人間なので、引退後は人生を持て余してる感じ。 その「持て余し人生」を演じるのが クリスチャン・ベイル。 今回も何十キロも減量して、 後頭部の髪を抜いてハゲを作って わざと歯を動かして。見てる人に 顔の骨格が歪んでるような印象を与えてます。 そういう事を役作りでするべきか否かは 意見の分かれるところだと思うんですが、 笑った時の不細工な感じが絶妙に愛おしくなるような、 そういう顔に仕上げてきてるんですよ。 これが映画の、最後の最後に効いてくる。 いいとこは全部、クリスチャンベイル演じる 兄貴が持っていってしまう映画; でもそれは、どういう事なのかといえば・・・ 一線を退いた後も、どんな人間にも ファイトは続く、ということ。 誰もがファイターである、と。 そういうメッセージが届いてくるような、 ダメ人間の七転八倒ぶりを演じ、 クリスチャン・ベイルはこの映画で アカデミー賞を獲得したのでした。 プロフィールを見たら私の年齢の1個上だった! 勘違いしてた。無念。
by frat358
| 2013-06-01 15:42
| DVDエラー大嫌い
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