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スーパーサイズミーをヒットさせた モーガン・スパーロックのファンですけど、 久々に彼の「30デイズ」を見てみました。 第2シーズンも何話か日本で発売されてます。 今回みたのは・・・ 「刑務所暮らしを30日体験」 「インドに仕事を奪われて解雇されたアメリカ人が 奪われた仕事をインドで30日体験」 この2本。 過去にもイスラム教徒とキリスト教徒が30日同居とか かなり踏み込んだ、危険な企画をしてますけど 今回も分かりやすく説明しながらユーモアと一緒に ドキュメンタリーを進行させるモーガン監督。 刑務所暮らしの30日体験はモーガン監督自身が 体験役を引き受けています。思いおこせば・・・ ハンバーガーだけ食って30日生活 最低賃金で30日生活など かなり大変そうな企画を自ら体験者として 引き受けてきたモーガン監督ですが。 今回ばかりは本当に精神をズタボロにされてました; ナンシー・レーガンによる麻薬撲滅運動が始まったのが 1980年代。これによって麻薬犯罪の囚人は 12倍に増えました。現在では麻薬犯罪での逮捕者は アメリカ囚人全体の50%にもなり、 全てのアメリカの囚人の数は世界の囚人の 4分の1を占める200万人に到達。 ここ25年間でアメリカの囚人は4倍に増えてるし 囚人のうち3人に2人は3年以内に再犯して 刑務所に戻ってきてしまう。 そして、政府が刑務所に使ってる年間予算は なんと610億ドル・・・ もう、何がなんだか分からない状況に; そんななか、モーガン監督は みずから刑務所に入って問題点を探ります。 今回の体験で自らに課したルールは以下になります。 ・本当の囚人と全く同じ環境を体験する。 ・独房の罰を72時間体験する。 ・30日間で面会は2回までとする。 モーガン監督が囚人体験する事になったのは バージニア州の刑務所で 集団生活に近いデイルームという場所。 中央に広間があって、その周りに囚人の部屋が ズラリと並んでいる空間です。 1つの部屋に2人が入って寝るようになってますが あまりにも逮捕者が多すぎて1部屋に3人が 寝ているような状態でした。トイレの下に シートを敷いて眠るような状態です。 清潔に保たれていますが人間が狭い場所で 外にも出れず密集状態で生活している為、 プライベートな時間が全くもてません。 夜中になれば怒鳴り声。同室の囚人は ヘロイン中毒で一日中毛布を被りながら ゆさゆさと身体を動かし続ける(禁断症状) 今までとはまるで違う生活環境のなかで まったくリラックスして眠れないのでした。 アメリカの囚人がここ20年間ほどで 爆発的に増えた事は、新しい利権を誕生させました。 刑務所の為にアメリカ政府が払っている予算は 610億ドルな訳ですが、この利権に群がるのが 建設会社、制服業者、フードサービス業者、 洗濯関連業者、電話会社などなど。 凄い国家予算で囚人が楽しく過ごしてるかといえば 全くそんな事はなくて。800人分の1回の食事に 予算は500ドルしか出ていませんでした。 一人分に換算すると、1食が約67セント。 相手は罰を受けた囚人ですから 豪華な食事が出てきても困りますが; それにしたってロクなものは出てきません。 しかし最もモーガン監督が参ってしまったのは 「退屈」という問題。外に出ることは出来ないし テレビだけ見てても、いずれは飽きる。 部屋に戻っても書斎がある訳ではない。 窓も無いので季節が感じられない。 刑務所という閉鎖環境の中で、 ジワジワとモーガン監督は思考が停止して 物事を考えられなくなっていきます。 何もない場所で考えることが停止する環境の中、 人間は、もう二度と刑務所に入らないで済むように 成長していけるものでしょうか。 そんな思いも巡る中、独房タイム開始; 私たちがドラマなどで見かける部屋に近いね。 娯楽は全くありません。重罪人の場合は ここに1日23時間も入れられたり、 1年とか2年とかを過ごす事もあるんだとか。 広間のデイルームでの生活にせよ、 独房での生活にせよ、最も危険なのは こういう状況に「慣れてしまうこと」かもしれません。 だってここを経験したあとに出所して 世の中で働くのですから、独房や刑務所という場所を 慣れ親しんだ場所にしてしまったら それこそ社会復帰不可能になるのでは、と。 でも慣れない事には発狂してしまう可能性もあるほど 刑務所というのは特殊な場所なのかもしれません。 ここに5年、10年と暮らしていれば 人間関係の築き方も分からなくなるだろうし 広い空間に放り出されて、どうしていいのか パニックになってしまう場合もありそうだ。 刑務所に長く居た事で社会では生活できない人間になり、 再び社会に放って、また失敗して戻ってくる。 そういう循環が3人に2人の再犯者の原因なのかもしれん。 何がベストかはそれぞれ違うだろうし 不況に苦しむ中で大規模な事は出来ないと思うけど、 出所して何をしたいのか掴んでから出て行かないと また同じことの繰り返しになるような気がする。 モーガンが設定した2回しかない面会タイムは。 1回目は両親と。2回目は奥さんと会う事に使いました。 衝撃。どんな辛い目に遭っても 決して心が折れなかったモーガンが 奥さんとの面会後に辛くて泣いた・・・ なんにも悪いことしてないのに泣いてる(笑) 刑務所で一番つらいのは面会の後だと ほとんどの囚人達が言うそうですが。 モーガンも誰に愛されてて 誰を愛してるのか再認識した模様。 出所後は奥さんが迎えにきてくれて、 64セントではない料理を食べにいったようです。 モーガンと仲の良かった50近いおじさん。 若い頃に捕まり、長く刑務所に居て 出所した途端に再び犯罪をしました。 鎖で繋がれてた犬が、ある日、鎖が外れて 羽目を外して走り回るのに似てたと彼は話します。 人生の半分近くは刑務所で過ごした。 今度こそやり直す。もう失敗はしない。 二度と刑務所には戻ってこない。誓って彼は出所した。 そして、その2週間後に再び犯罪をして 今も刑務所に居ます。
by frat358
| 2013-03-14 18:05
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