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スライディング・ヘディングシュート2


3000坪の冒険と、時々音楽すごく映画。たまにサッカー
by frat358
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慣れたら負け。慣れないと発狂。

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スーパーサイズミーをヒットさせた
モーガン・スパーロックのファンですけど、
久々に彼の「30デイズ」を見てみました。
第2シーズンも何話か日本で発売されてます。
今回みたのは・・・

「刑務所暮らしを30日体験」

「インドに仕事を奪われて解雇されたアメリカ人が
 奪われた仕事をインドで30日体験」

この2本。

過去にもイスラム教徒とキリスト教徒が30日同居とか
かなり踏み込んだ、危険な企画をしてますけど
今回も分かりやすく説明しながらユーモアと一緒に
ドキュメンタリーを進行させるモーガン監督。
刑務所暮らしの30日体験はモーガン監督自身が
体験役を引き受けています。思いおこせば・・・
ハンバーガーだけ食って30日生活
最低賃金で30日生活など
かなり大変そうな企画を自ら体験者として
引き受けてきたモーガン監督ですが。
今回ばかりは本当に精神をズタボロにされてました;
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ナンシー・レーガンによる麻薬撲滅運動が始まったのが
1980年代。これによって麻薬犯罪の囚人は
12倍に増えました。現在では麻薬犯罪での逮捕者は
アメリカ囚人全体の50%にもなり、
全てのアメリカの囚人の数は世界の囚人の
4分の1を占める200万人に到達。
ここ25年間でアメリカの囚人は4倍に増えてるし
囚人のうち3人に2人は3年以内に再犯して
刑務所に戻ってきてしまう。
そして、政府が刑務所に使ってる年間予算は
なんと610億ドル・・・
もう、何がなんだか分からない状況に;
そんななか、モーガン監督は
みずから刑務所に入って問題点を探ります。
今回の体験で自らに課したルールは以下になります。

・本当の囚人と全く同じ環境を体験する。

・独房の罰を72時間体験する。

・30日間で面会は2回までとする。

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モーガン監督が囚人体験する事になったのは
バージニア州の刑務所で
集団生活に近いデイルームという場所。
中央に広間があって、その周りに囚人の部屋が
ズラリと並んでいる空間です。
1つの部屋に2人が入って寝るようになってますが
あまりにも逮捕者が多すぎて1部屋に3人が
寝ているような状態でした。トイレの下に
シートを敷いて眠るような状態です。
清潔に保たれていますが人間が狭い場所で
外にも出れず密集状態で生活している為、
プライベートな時間が全くもてません。
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夜中になれば怒鳴り声。同室の囚人は
ヘロイン中毒で一日中毛布を被りながら
ゆさゆさと身体を動かし続ける(禁断症状)
今までとはまるで違う生活環境のなかで
まったくリラックスして眠れないのでした。
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アメリカの囚人がここ20年間ほどで
爆発的に増えた事は、新しい利権を誕生させました。
刑務所の為にアメリカ政府が払っている予算は
610億ドルな訳ですが、この利権に群がるのが
建設会社、制服業者、フードサービス業者、
洗濯関連業者、電話会社などなど。
凄い国家予算で囚人が楽しく過ごしてるかといえば
全くそんな事はなくて。800人分の1回の食事に
予算は500ドルしか出ていませんでした。
一人分に換算すると、1食が約67セント。
相手は罰を受けた囚人ですから
豪華な食事が出てきても困りますが;
それにしたってロクなものは出てきません。

しかし最もモーガン監督が参ってしまったのは
「退屈」という問題。外に出ることは出来ないし
テレビだけ見てても、いずれは飽きる。
部屋に戻っても書斎がある訳ではない。
窓も無いので季節が感じられない。
刑務所という閉鎖環境の中で、
ジワジワとモーガン監督は思考が停止して
物事を考えられなくなっていきます。
何もない場所で考えることが停止する環境の中、
人間は、もう二度と刑務所に入らないで済むように
成長していけるものでしょうか。
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そんな思いも巡る中、独房タイム開始;
私たちがドラマなどで見かける部屋に近いね。
娯楽は全くありません。重罪人の場合は
ここに1日23時間も入れられたり、
1年とか2年とかを過ごす事もあるんだとか。
広間のデイルームでの生活にせよ、
独房での生活にせよ、最も危険なのは
こういう状況に「慣れてしまうこと」かもしれません。
だってここを経験したあとに出所して
世の中で働くのですから、独房や刑務所という場所を
慣れ親しんだ場所にしてしまったら
それこそ社会復帰不可能になるのでは、と。
でも慣れない事には発狂してしまう可能性もあるほど
刑務所というのは特殊な場所なのかもしれません。
ここに5年、10年と暮らしていれば
人間関係の築き方も分からなくなるだろうし
広い空間に放り出されて、どうしていいのか
パニックになってしまう場合もありそうだ。
刑務所に長く居た事で社会では生活できない人間になり、
再び社会に放って、また失敗して戻ってくる。
そういう循環が3人に2人の再犯者の原因なのかもしれん。
何がベストかはそれぞれ違うだろうし
不況に苦しむ中で大規模な事は出来ないと思うけど、
出所して何をしたいのか掴んでから出て行かないと
また同じことの繰り返しになるような気がする。

モーガンが設定した2回しかない面会タイムは。
1回目は両親と。2回目は奥さんと会う事に使いました。
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衝撃。どんな辛い目に遭っても
決して心が折れなかったモーガンが
奥さんとの面会後に辛くて泣いた・・・
なんにも悪いことしてないのに泣いてる(笑)
刑務所で一番つらいのは面会の後だと
ほとんどの囚人達が言うそうですが。
モーガンも誰に愛されてて
誰を愛してるのか再認識した模様。
出所後は奥さんが迎えにきてくれて、
64セントではない料理を食べにいったようです。
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モーガンと仲の良かった50近いおじさん。
若い頃に捕まり、長く刑務所に居て
出所した途端に再び犯罪をしました。
鎖で繋がれてた犬が、ある日、鎖が外れて
羽目を外して走り回るのに似てたと彼は話します。
人生の半分近くは刑務所で過ごした。
今度こそやり直す。もう失敗はしない。
二度と刑務所には戻ってこない。誓って彼は出所した。
そして、その2週間後に再び犯罪をして
今も刑務所に居ます。
by frat358 | 2013-03-14 18:05 | 超ネタバレ映画感想
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