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スライディング・ヘディングシュート2


3000坪の冒険と、時々音楽すごく映画。たまにサッカー
by frat358
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みょーにリアルだった

みょーにリアルだった_c0027929_18521116.jpg

「第9地区」
予算が少ない為か荒っぽい部分もあり
主役は監督の友人だったりするし、
この映画が生まれた理由も少し変わってます。
とある作品の製作に関して予算交渉を
マイクロソフトとしていたのですが、
交渉が決裂してスタッフは途方に暮れました。
でも、せっかく優秀な人間が集まったんだし
なんかしようよと、いう訳で。
監督が過去に短編として作った作品を
長編に作り直して世に出してみたら
アカデミー賞にもノミネートされてしまった
まさかまさかの大ヒット映画。

南アフリカに巨大宇宙船が襲来し・・・
何をしてくるかと思えば何もしてこない;
2ヶ月経っても何もしてこない;;
人間が宇宙船の内部に侵入してみると、
そこには栄養失調で弱りきった宇宙人が
100万人ちかく収容されていた。
宇宙人は地球に下ろされて、難民として
アフリカの一部地域に隔離されます。
そのまま20年の歳月が経ち、
アフリカ住民と宇宙人達の対立が激化。
内戦状態になった状況に手を打つべく、
政府は民間の軍事企業へ宇宙人の
大量移送を委託。ここから映画スタート。

この映画は設定が面白いです。
宇宙人といえば知的なイメージを
誰もが持つと思いますが、
この作品の宇宙人は原始人じみていて、
言葉も通じないし感情的です。
何もしてこないというのも強烈な
独創性を感じます。しかも弱っている;
ゴムを食ったりキャットフードを
食ったりする宇宙人達なのですが、
「約束を守る」という個性を持っていて、
この部分が映画の後半に、見ている人が
宇宙人達に共感を持つ機会になっています。
更に主人公が、単なる役人だというのも
ジワジワと効果を発揮していきます。
彼が主役だという事に気ずくには
ちょっと時間かかるくらいに
インパクトのない登場の仕方をします。
内面的には「受動的な」差別主義者。
周りが差別を面白がるから影響を受け、
自分も面白がるようになっていきます。
特に考えを持ち合わせていません。
ある意味では残忍な主人公なので
これも珍しい設定だと思います。

監督はこれがデビュー作品となり、
脚本に関しては複数人で数ヶ月かけて
練りに練ったそうですけど、
元々がストーリー重視ではなく
CG技術を披露する為に作られた話であり、
細かく決めてなかったらしくて。
大きなテーマが最初の時点で存在しなかった。
その影響が最後に出てしまったのか、
娯楽作品にしたいというコンセプトと
話がシリアスになる後半が矛盾していき、
何処に向かっていいのか分からなくなって
大筋の部分が未完結になってると思います。
それでもクライマックスのアクションや
二転三転する流れは見ていて楽しかった。

場所設定に南アフリカを選んでいる事もあり、
人体実験されたり傭兵に射殺されたり、
弱者として描かれる宇宙人の悲壮感は
人種差別を想像させるし、思い切って終盤は
完全にシリアスにしたほうが
もっと自由に展開できたのでは・・・
この辺りは現場で揉めたかもしれませんね。
どうしてこういう事が起きたのかといえば、
監督が南アフリカ出身なのが影響してるかも。
貧困の厳しさを知っている人だけに
この点での映像が妙にリアルなので、
私なんかは、そういう社会的な面での
メッセージも期待してしまうんですよね;
気味の悪い作りにした宇宙人達が可愛く見えたり
哀れに見えたり、CG担当の頑張りも目を引きます。

この映画は作られた理由がいいなと思います。
集まったスタッフ達が、企画が頓挫したのに
それでも何かを作ろうと思ったのは、
監督・脚本を務めたニール・ブロムカンプが
「いいやつ」だったからと言うんです。
この映画のヒットで、製作に関わった人達は
芋づる式に成功していくと思いますけど、
要因に情熱的で楽しい現場が在ったというのは
聞いてて嬉しい話でした。


by frat358 | 2010-08-19 19:08 | DVDエラー大嫌い
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